野村の「世界6資産分散ファンド」をつみたてNISAで利用するメリット・デメリット

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2018年4月23日、「世界6資産分散ファンド」が「つみたてNISA」の対象商品となったことで「つみたてNISA」の対象投資信託は145本(インデックスファンド129本、アクティブファンド16本)となりました。

この記事では、野村アセットマネジメントが運用する「世界6資産分散ファンド」の特徴、「つみたてNISA」で利用する場合のメリットやデメリット、ライバルとなる他のバランスファンドとの比較やリターンの予想などについて解説しています。

世界6資産分散ファンドの特徴

「世界6資産分散ファンド」というネーミングから最初に想像するのは6資産型のバランスファンドだと思いますが、「世界6資産分散ファンド」は他の6資産型のバランスファンドとは異なったアセットアロケーションになっています。

イメージとしては「eMAXIS Slim全世界株式(3地域均等型)」に債券を組み込んでバランスファンドに仕上げたものが「世界6資産分散ファンド」だと考えてもらうといいでしょう。「eMAXIS Slim全世界株式(3地域均等型)」については以下の記事でくわしく解説しています。

この記事では新しく「eMAXIS Slimシリーズ」に加わった「eMAXIS Slim全世界株式(3地域均等型)」のメリットとデメリットを解説しています。この投信は単独で利用するだけでなく、他の投資信託と組み合わせることで信託報酬を引き下げることができます。

不動産には投資せず新興国に投資する

「世界6資産分散ファンド」と6資産型のバランスファンドとの最大の違いは不動産の代わりに新興国に投資している点です。「世界6資産分散ファンド」は日本、先進国、新興国の3つの地域の株式と債券に均等に(6分の1ずつ)投資しますので、一般的なバランスファンドと比べると、新興国への投資比率が高くなっているのが特徴です。

6資産型および8資産型のバランスファンドには不動産への投資が含まれるため、不動産に投資したくない人がバランスファンドを選ぶ場合は4資産型(日本と先進国の株式および債券に投資)を選ぶことになりますが、4資産型には新興国への投資が含まれておらず、比較的保守的な運用となります。

4資産型バランスファンドに新興国をプラス

「世界6資産分散ファンド」は国内半分、国外半分の運用となる4資産型のバランスファンドに新興国への投資を追加することで、国内への投資比率を引き下げ、先進国よりも高い成長が期待できる新興国への投資でリターンを追求する商品設計となっています。

「世界6資産分散ファンド」はマザーファンドを通じて投資するファミリーファンド方式で運用されます。投資対象のマザーファンドは以下の通りですので、それぞれがベンチマークとしている指数の過去の動きから「世界6資産分散ファンド」のパフォーマンスをシミュレーションすることが可能です。

アセットアロケーション

世界6資産分散ファンドのリターン予測

「世界6資産分散ファンド」は野村アセットマネジメントが運用する「野村 インデックスF・新興国債券」、「野村 インデックスF・新興国株式」、「野村 インデックスF・外国債券」、「野村 インデックスF・外国株式」、「野村 インデックスF・国内債券」、「野村 インデックスF・TOPIX」に均等に投資した場合をシミュレーションすることで、理論上の過去のリターンを計算することができます。

上記6本のインデッスファンドへ均等に投資した場合、過去5年間のトータル・リターンは下記の表に記載されている通り6.23%となります(あくまで理論上のお話ですが)。

投資信託5年間のトータル・リターン(年率)信託報酬
野村 インデックスF・新興国債券0.83%0.65%
野村 インデックスF・新興国株式6.96%0.65%
野村 インデックスF・外国債券3.76%0.59%
野村 インデックスF・外国株式12.12%0.59%
野村 インデックスF・国内債券1.28%0.43%
野村 インデックスF・TOPIX12.44%0.43%
上記6つのファンドに均等に投資する「世界6資産分散ファンド」6.23%0.53%
世界経済インデックスF6.57%0.54%
ダイワ・ライフ・バランス507.57%0.22%
eMAXIS バランス(8資産型)6.49%0.54%
eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)-0.17%

参考までに申し上げますと「eMAXIS バランス(8資産均等型)」の過去5年間のトータル・リターンは6.49%、「世界経済インデックスF」の 過去5年間のトータル・リターン6.57%、「ダイワ・ライフ・バランス50」の過去5年間のトータル・リターンは7.57%となっており、既存のバランスファンドと「世界6資産分散ファンド」との間に大きなリターンの差は見られません。

世界6資産分散ファンドを利用するメリット

「世界6資産分散ファンド」は不動産への投資をしたくない人で、新興国への投資比率を高めた運用を1本のバランスファンドで行いたいと考えている人にはピッタリの投資信託です。

「つみたてNISA」では複数の投資信託に分散投資した場合に必要となる「リバランス」を行いにくいという制度上の問題があり、ファンド内で自動的にリバランスが行われるバランスファンドには一定のニーズがあります。

また、「世界6資産分散ファンド」は運用対象の半分が債券となっており、株式市場が急落するような場面でも心理的な不安が大きくなるほどの値動きをすることはなく、長期的な積立投資を継続しやすいというメリットもあります。

世界6資産分散ファンドを利用するデメリット

「世界6資産分散ファンド」の最大の弱点は信託報酬の高さです。0.53%(税込み)という信託報酬は、一昔前なら標準的な水準だと言えるのですが、現在では0.17%から0.24%という信託報酬のバランスファンドが増えてきており、あえて0.53%のバランスファンドを選ぶ理由がありません。

また、野村アセットマネジメントは「野村 6資産均等バランス」というバランスファンドを「つみたてNISA」の対象商品として2017年9月から運用しているのですが、信託報酬が0.24%という低さであるにもかかわらず、純資産額が5.3億円しか集まっていません。

2017年5月から運用がスタートした「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) 」が110億円の純資産額を集めているのに比べると、「野村 6資産均等バランス」は繰上償還のリスクを感じるくらいの人気のなさです。

そのような状況の中、信託報酬0.53%のバランスファンドである「世界6資産分散ファンド」が人気化する可能性はあまり高くないものと思われます。

交付目論見書の記載を見ると、「世界6資産分散ファンド」は純資産額が30億円を下回る状況が続くと繰上償還になる可能性があるようですので、とりあえずは30億円が集まったことが確認できるまでは、慌てて投資する必要はないように思います。

世界6資産分散ファンドのライバル

「世界6資産分散ファンド」の最大のライバルは「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) 」になるでしょう。過去5年間のトータル・リターンを考えると、「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) 」は「eMAXIS バランス(8資産均等型)」と同じリターンになるものと思われますので、「世界6資産分散ファンド」と、「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) 」とにリターンの差はほとんどないものと考えられます。

しかしながら信託報酬については「世界6資産分散ファンド」が0.53%、「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) 」が0.17%となっており、その差は歴然です。

まとめ

自分でアセットアロケーションを考えられる人は、あえてバランスファンドに投資するよりも、複数の投資信託を自分で組合せて運用する方が低コストの運用が可能となります。

アセットアロケーションは年齢や収入、預貯金の金額などに合わせて調整していく必要がありますので、最初のうちは「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型) 」のような超低コストなバランスファンドで運用をしながら、少しずつ自分でアセットアロケーションを調整できるようになるのが理想です。

「世界6資産分散ファンド」は良い商品だと思いますが、信託報酬の高さに比例するだけのメリットを感じることができないため、人気化する可能性はあまり高いとは思えません。純資産額の推移をしっかりと確認してから利用を検討されることをオススメします。