長期積立投資は年代に合わせたリスクコントロールでリターンの最大化を狙う

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毎月定額の資金で特定の金融商品を買い付ける「積立投資」は証券会社が提供する積立サービスやロボアドなどを利用することで、自動的に行うことができます。ただし、何十年にも渡って行う自動積立投資においても、年代によるリスク許容度の変化に合わせたリスクコントロールは必要です。

ライフステージによるリスク許容度

結婚している人と独身の人とではリスク許容度は異なります。結婚している人の場合でもパートナーが仕事をしているかしてないか、子どもがいるかいないかによってリスク許容度に大きな差が出てきます。独身であれば自分の行動による影響を受けるのは自分だけで済みますが、結婚すると生活を共にするパートナーの考え方によってリスク許容度を調整する必要が出てくる場合もありますし、子どもが生まれると一般的にはリスク許容度は低くなります。

多くの場合、リスク許容度が低くなる理由は投資に回している資金を取り崩す可能性が高まるからだと言えます。本来、投資資金をキャッシュに変換するタイミングは投資対象の市場環境に合わせるのが理想的ですが、市場の状況に関係なくキャッシュに変換しなければならない状況では想定外のマイナスリターンが発生する可能性があります。

結婚、出産、進学などといったイベントではそれなりのキャッシュが必要になりますが、十分なキャッシュが準備できていない場合は市場の状況に関係なく投資対象をキャッシュに変換しなければなりませんので、前もってタイミングを見ながらリスクの高い資産クラスからリスクの低い資産クラスへシフトしておきましょう。

20代はリスクを最大限とる投資を経験

ライフステージに関係なく、年代に合わせたリスクコントロールは必要です。日本人の平気寿命は既に90歳近くまで伸びてきています。このことは、人生の前半を60歳まで、後半を60歳からの30年間と考えて、「2回の人生をエンジョイする時代」に突入しているということを意味しています。

大学を卒業したら大企業に就職し、年功序列の終身雇用制度によって60歳で定年をむかえ、老後は年金と退職金でのんびりと過ごすという勝ちパターンは既に過去のものとなりました。現在の勝ちパターンは、前半の1回目の人生でスタートダッシュに成功し、後半の2回目の人生ではそのアドバンテージを活かしたキャッシュ・フローを確立するというものです。

20代の資産運用ではリスクを最大限背負ってリターンの最大化を目指すべきだと私は考えます。債券などのローリスク・ローリターンの資産クラスに投資することは考えず、先進国の株式市場に積極的に投資することでリスクの本質とは何かを20代のうちに体感しておきましょう。

ただし、20代では自己投資が最も大きなリターンを生む場合も多く、まずは稼ぐ力をつけるために自分に投資することも考えてみて下さい。この時期の投資では、お金だけではなく時間も投資の対象となります。目先のお金欲しさに残業ばかりしていては自分のスキルアップのために使う時間が確保できなくなります。今の時給で今稼ぐことよりも将来の時給を引き上げるための時間を今の自分に投資することで、生涯年俸を増やす可能性についても考えてみて下さい。

国税庁の「平成 27 年分民間給与実態統計調査」によると20代前半の平均給与は男性で265万円、女性で226万円ですが、20代後半では男性で371万円、女性で295万円となっています。こうして見ると、20代前半では投資にまわせるお金はごく僅かかもしれませんが、毎月1000円からでもいいので目一杯リスクをとり、投資する習慣を身に付けると同時に、投資に関する知識と経験の獲得を目指しましょう。毎月1000円の投資を成功させるための方法については以下の記事でまとめてありますので是非ご覧下さい。

これから投資を始める人におすすめなのが積立投資です。まずは毎月1000円から気軽に積立投資をスタートしていくための基本的な考え方、選ぶべき証券会社をご紹介し、積立投資に適した具体的な金融商品の選び方やその理由について解説していきます。

30代から40代の投資は全力で

30代から40代のリスク許容度は個人の状況よって大きく異なります。結婚している人や子どもがいる人の場合は将来の目的に向かってキャッシュを積み上げることが最優先となっていたり、住宅ローンの返済が大変で投資にまわすお金なんかないという人もいれば、独身を貫く人や子どもをつくらない共働きの夫婦のように将来に向けた投資を積極的に行える人たちもいます。

多くの人が人生の中で最もお金を使うのがこの30歳から40歳の20年間だと考えられます。住宅購入や子育てはもちろんのこと、人生を楽しむための出費もかさむこの時期は、よほど意識をしない限りは投資にお金をまわすことができないのかも知れません。しかし、この時期にしっかりと投資をするかしないかは、今後の人生に大きな差となって表れてきます。

ある程度のキャッシュをプールしながら「iDeCo」や「つみたてNISA」などを利用した積立投資で米国株式市場に連動するインデックスファンドを中心に投資し、余裕があるなら特定口座を利用して米国市場のETFなどに投資することも考えてみましょう。この時期のリスク許容度は家計のキャッシュ・フローによって異なり、ある程度の収入が確保できているなら20代と同じくらい高いリスクをとって将来の大きなリターンを狙った投資をしていいと思います。

この時期に収入が不十分な状況であれば、無理して投資にまわすお金を増やすよりも、収入を増やすために時間やお金を使った方がいいかも知れません。例えば、転職のためのスキルの習得、あるいは副業を始めるためなどに時間とお金を使い、将来の収入アップを目指しましょう。

50代からはリスクの低い投資スタイル

「iDeCo」の積立運用は60歳で終了と考えると50代のうちにタイミングを見ながらリスク資産を安全資産にシフトしていく必要があります。まだまだリスクをとって大きなリターンを狙いたいという方もいらっしゃると思いますので、そのような方は「iDeCo」では安全資産を中心とした運用をしつつ、特定口座では積極的にリスクをとる運用にチャレンジするコアサテライト戦略による運用をスタートしましょう。

50代の男性の平均年収は640万円となっており、収入面から考えればある程度のリスクをとることは可能です。ただし、「iDeCo」や「つみたてNISA」のように期限のある制度での運用では出口戦略も重要であり、50歳から60歳になるまでの10年の間に出口のタイミングを見つけるようにしておきましょう。

もうすぐ60歳というタイミングでリーマンショック級の経済危機が起こってしまった場合、「iDeCo」で運用している株式資産の価値は最悪の場合半分程度は吹き飛びます。60歳を超えても70歳までは運用の継続は可能ですが、市場の回復が間に合わない場合もありますので、50歳になったらタイミングを見ながら「iDeCo」のリスク資産を安全資産にシフトしていくことを考えておきましょう。

まとめ

長期積立投資でも年齢やキャッシュ・フロー、ライフステージに合わせたリスクコントロールは必要です。人生の前半部分である60歳までにどれだけの金融資産を積み上げられるかは人生の後半部分の生活に大きな影響を与えます。

ただし、投資というものは金融資産に対してのみ行う訳ではなく、自分に投資したり、キャッシュ・フローを生み出す別の物に投資するという選択肢もあります。60歳を過ぎてもキャッシュ・フローを生み出し続けるビジネスを育てるための投資や、家賃収入を生み出す不動産などへの投資も金融資産への投資と同様に60歳以降の第二の人生において大きなアドバンテージとなることでしょう。