バランスファンド選びで失敗しないために知っておくべきたったひとつのポイント

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ここ数年で優れたバランスファンドが数多く誕生しており、バランスファンドを利用する人が増えています。

ただ、残念なことに間違ったバランスファンドを選んでしまう人は意外に多いようです。この記事では、「iDeCo」や「つみたてNISA」のような長期積立投資でバランスファンドを選ぶ場合に最も大切なポイントについて解説しています。

バランスファンドが選ばれる理由

バランスファンドのニーズは以前からそれなりにあったのですが、現在のように人気が高まったのはここ数年のことです。

バランスファンドに安定的に資金が流入し始めたのは2014年あたりからで、「少額投資非課税制度(NISA)」がスタートした時期と一致します。

その後、2017年には「個人型確定拠出年金(iDeCo)」の加入対象者が拡大され、2018年には「つみたてNISA」がスタートし、個人が税金を気にすることなく老後資金を長期的に形成していことができる制度が充実していく過程において、バランスファンドはその存在感を高めてきました。

比較的投資経験の浅い若年層が複数の資産クラスに分散して投資する方法として、バランスファンドは非常にシンプルで有効な選択肢の一つです。

投資に詳しくない初心者でも優秀なバランスファンドを1本選ぶだけで様々な国や資産クラスに分散投資することが可能なうえ、以前は割高だった信託報酬の水準が大幅に引き下げられていることもバランスファンドの人気が高まっている理由のひとつです。

バランスファンドの仕組みとコスト

一般的にバランスファンドはファミリーファンド方式、あるいはファンド・オブ・ファンズ方式で組成されています。

どちらの方式も直接債券や株式に投資するのではなく、複数のファンドに分散投資することで間接的に複数の資産クラスに分散して投資しているという点で、スキームとしては同じものだと言えます。

ファンド・オブ・ファンズ方式はコストを二重払い

ファンド・オブ・ファンズ方式の代表として「セゾン バンガード・グローバルバランスファンド」の仕組みを見てみましょう。

「セゾン バンガード・グローバルバランスファンド」の直接の投資対象は米国市場に上場している以下の9本のETF(上場投資信託)です(目論見書から抜粋)。

SVBF
このように「セゾン バンガード・グローバルバランスファンド」の利用者は投資対象となっている個別のETFごとに信託報酬が発生すると同時に、「セゾン バンガード・グローバルバランスファンド」としての信託報酬も支払うということになります(年率0.6%の信託報酬にはETFの信託報酬が含まれています)。

既にお気づきのことだと思いますが、米国で取引されている9本のETFにバランスよく分散投資しているのが「セゾン バンガード・グローバルバランスファンド」ですので、わざわざ「セゾン バンガード・グローバルバランスファンド」を購入しなくても個人レベルでネット証券に外国株式の取引口座を開設して上記9本のETFを購入することは可能です。

自分で購入することで信託報酬などの運用コストは0.1%程度にまで引き下げることが可能です。ただし、購入の際に発生する売買手数料や両替手数料などの費用、リバランスや配当金の再投資などといった運用の手間を考慮すると、年間0.6%の信託報酬を支払っても「セゾン バンガード・グローバルバランスファンド」を利用する方が初心者にとってはリーズナブルだと言えるかも知れません。

ファミリーファンド方式はコストを割安にすることができる

ファミリーファンド方式の代表として「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」の仕組みを見てみましょう。

「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」の直接の投資対象は同じ運用会社内に存在している以下の8つのマザーサンドです(目論見書から抜粋)。

EMS8
マザーファンドは運用会社がファンドの組成を合理化するために運用しているファンドであり、一個人が直接購入することはできません。また、マザーファンドそのものは販売を目的としていないため信託報酬を徴収することもありません。

「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」が0.17%という驚異的に低い信託報酬で提供できている理由は運用会社である「三菱UFJ国際投信」の営業努力はもちろんのこと、マザーファンド方式による合理的な運用もコスト圧縮に一役買っていることは間違いありません。

リターンを生み出すリスク資産の比率

バランスファンドを選ぶ基準として多くの人が「信託報酬」に注目しているようです。

確かに「信託報酬」は運用額に対して毎年支払うことになるコストですので個人投資家がファンド選びの判断基準として重要視するのは当然のことですが、バランスファンドの場合は「信託報酬」の低さが必ずしもリターンに好影響を与えてくれる訳ではありません。

バランスファンドにおいて将来におけるリターンの大きさを決定するのはわずかな信託報酬の差ではなく、リスク資産に対する投資比率です。

バランスファンドにおけるリスク資産とは「株式」と「REIT(不動産)」の2つだけですので、これらのリスク資産にどの程度の比率で投資しているバランスファンドなのかを目論見書などで必ず確認しておきましょう。

実を言うと、長期積立投資において安全資産である「債券」に投資する意味はあまり大きくはありません。

債券は保有期間に対して利息が発生し、満期時における元本が保証されている金融商品ですので「株式」ほど大きな価格変動がある訳ではなく、長期に渡ってコツコツ積立てていくよりも最初に一括で投資した方が利息をもらえる期間が長くなる分だけリターンが期待できます。

それに対して「株式」や「REIT」のようなリスク資産は価格変動が大きいため一括で投資するとタイミングによってリターンに大きな差が発生してしまいます。

老後資金の形成を目的とした資産運用では大きな失敗は許されませんし、そもそも多くの若年層はまとまった金融資産を保有しておらず、一括投資による資産運用は現実的とは言えません。

値動きの大きいリスク資産を運用して安定的なリターンを狙うには、ドルコスト平均法による買付価格の平準化を利用した長期積立投資が最もシンプルで効果的な運用方法です。

このことは、金融庁が「つみたてNISA」の制度をつくる際の基本となっている考え方であり、「つみたてNISA」の運用対象に債券投資信託が採用されずに株式投資信託だけが採用されているのは安全資産である債券を積立てても国民の金融資産が大きく増える見込みがないことを金融庁が理解しているからです。

リスクをとらない日本とリスクをとる米国

個人金融資産に占める株式、投資信託の保有比率を日本、英国、米国で比べてみると、日本では19%、英国では38%、米国では46%となっており、日本人が保有する個人金融資産のうち8割前後はリターンが期待できない預貯金や保険などの安全資産で占められています。

この結果、過去20年間における家計金融資産は米国で3.3倍、英国で2.5倍に増加しているのに対し、日本では1.5倍にしか増えていません。

投資におけるリターンの大半はリスク資産によってもたらされるものです。リスクの小さい国債や預貯金で運用しても将来得られるリターンは現在のような低金利時代においてはほとんどゼロと言っても過言ではありません。

モーニングスターの調べによると(2018年10月末時点のデータ)、米国ではバランスファンドにおけるリスク資産の割合が「50%〜70%」のバランスファンドがバランスファンド全体の58.42%のシェアを占めており、「70%以上」のシェア(16.24%)と合わせるとそのシェアは74.66%となっています。

米国ではリスク資産の割合が半分以下のバランスファンドは全体の25%程度のシェアしかありませんが、日本ではリスク資産の割合が25%以下のバランスファンドのシェアが22.77%となっており、バランスファンド全体の約60%がリスク資産比率50%以下となっています。

リスク資産の割合(%)は「100-年齢」

長期積立投資による投資効果はリスク資産の運用に対して非常に高く、「iDeCo」や「つみたてNISA」などといった毎月の投資額が小さい積立投資に最も適するのはバランスファンドではなく、株式比率が100%の株式投資信託だと言えます。

しかしながらリスク資産のみで資産運用を行ってよいのはこの先数十年は運用資産に手を付けないで済むだけの収入が見込める場合に限られ、数年先に定年退職することが決まっている人の場合はリスク資産の比率を落としておく必要があります。

リスク資産の保有率としてひとつの目安になるのが「100-年齢」です。30歳なら「100‐30=70%」となりますのでリスク資産の割合は70%程度がひとつの目安になります。人生100年時代を前提にすると、たとえ70歳であっても30%程度はリスク資産で運用を継続することで「増やしながら取り崩していく」という考え方が必要になってきます。

まとめ

日本のバランスファンド全体で見ると、リスク資産の割合が低いものに人気が集まっているのが現実ですが、老後資金を大きく形成したいとお考えの方は、ご自身のリスク許容度などを再考し、可能であればリスク資産の割合を70%前後まで引き上げてみることを検討されてはいかがでしょう。

個人的には、無理して毎月3万円をバランスファンド(堅実型)で積み立てていくよりも、株式比率100%の投資信託を毎月2万円ずつ積み立てる方が将来のリターンは大きくなる可能性が高いような気がします。

既にある程度の預貯金(安全資産)をお持ちの方につきましても、バランスファンドで債券のような安全資産に無駄な投資をするよりも株式100%の投資信託を積み立てていく方が合理的だと思います。

リスク資産の割合が70%以上のバランスファンドは最近設定されたものが多く、十分な純資産額が集まるのにもう少し時間が必要かもしれません。

現実的な運用としてはバランスファンドのボリュームゾーンとも言える「リスク資産比率が50%程度のバランスファンド」と「株式100%の投資信託」の2本を同額ずつ積立てていくことで、リスク資産の割合を75%程度に高めて運用するのがオススメです。

例えば、「ニッセイ・インデックスバランスF(4資産均等) 」と「eMAXIS Slim全世界株式(除く日本) 」を同額ずつ積み立てていくことで、低コストでリスク資産比率75%のバランス運用が可能となります。

これらのファンドは「つみたてNISA」の対象ファンドですので、「つみたてNISA」を利用して非課税で運用することも可能です。

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