ビットコインの儲けが会社にバレないために知っておきたい雑所得に関する正しい知識

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ビットコインの画像

ビットコインの取引で数万円の利益が出たという人は「20万円以下の雑所得は非課税」というようなガセ情報を信用しているとペナルティーを受ける可能性があります。また、所得を申告した場合に問題になるのが住民税の変化によって給与所得以外の所得があったことが会社に知られるリスクです。

そこで今回は、ビットコインの取引で発生した利益に対する税金と、納税に関する手続きの際に注意しておくべきポイントについて解説していきます。

ビットコインの利益は雑所得

ビットコインは決済手段として非常に大きな利便性を有していますが、現在では投資先としての存在感の方が強くなってきています。ここで議論になっていたのがビットコインへの投資によって発生した利益の所得区分でしたが、昨年国税庁が「雑所得」に該当するという結論を出したことにより、この議論には終止符が打たれました。

ビットコインは金融商品取引法ではなく、資金決済法の範疇に入ります。従って、ビットコインの取引によって発生した利益に対して、上場株式やFX取引といった金融商品のように「一律20%」という税率が適用される「申告分離課税」が採用される可能性はそもそもゼロでした。

心情的には「FX取引と同じような取引なのだから申告分離課税にして欲しい」という投資家の気持ちは理解できますが、仮想通貨の取り扱い業者は国税庁の見解を当然の結果として受け止めており、国税庁と争う気持ちはないようです。

雑所得は給与所得と合算されて税額が計算されますので、ビットコインの取引によって発生した利益が同じであっても、給与所得が高い人のほうが税率が高くなる傾向があります。給与所得だけなら税率が10%だった人も、雑所得の金額によっては税率が高くなり、所得税だけでも最大45%の税率が適用されます(さらに住民税が10%かかりますので合計で55%の税率になります)。

確定申告が必要な人とは

多くの会社員にとって、確定申告とは「納め過ぎた税金を取り戻すための手続き」だと思います。「住宅ローン控除」や「医療費控除」、「上場株式の譲渡損の繰越」などで確定申告を行ったことがある人も多いだろうと思います。

このように税金を取り戻すために会社員が自主的かつ任意に行う確定申告とは別に、会社員が給与所得以外の所得を得た場合には確定申告を行って、税金を納める義務があります。税金を取り戻す行為は任意ですが、税金を納める行為は義務であり、義務を怠ると無申告加算税や延滞税などの他、悪質だと判断された場合には重加算税などの重いペナルティーが課せられます。

つまり、会社員で確定申告をしなければならい人とは、給与所得が2000万円を超える会社員を除けば、「納め過ぎた税金を取り戻したい人」と「給与所得以外の所得のある人」ということになりますが、「給与所得以外の所得が20万円以下の人は確定申告の義務がない」という例外措置が大きな誤解を招いています。

たとえビットコインの取引による利益が3万円の雑所得であったとしても、「納め過ぎた税金を取り戻したい」というような理由などで確定申告を行う場合には雑所得の申告を同時に行う必要があります。本来であれば義務のない雑所得に対する確定申告を、別の目的のために行った場合には実際に発生している雑所得をゼロとするような虚偽の申告は行なえません。

「雑所得が20万円以下であれば、徴収できる税金よりも確定申告をチェックする事務コストの方が高くつくので確定申告はしなくてよいといルールにしているのに、別の目的で確定申告をしてくるのであれば事務コストを少しでも取り戻すために、20万円以下の雑所得であっても申告してもらいます。」というのが税務署の言い分です。

ちなみに2箇所以上で給与所得を受け取っている場合は給与所得が最も多い会社(主たる給与所得)以外から受け取っている給与所得(従たる給与所得)と雑所得の合計が20万円を超えれば確定申告の義務が発生します。

所得税と住民税は別問題

ここまでお読み頂いて、「自分は20万円以下の雑所得しかないので確定申告をしないで大丈夫!」と胸を撫で下ろしている方もいらっしゃるかと思いますが、安心するはまだ早いかも知れません。なぜなら確定申告が不要でも納税義務はあるからです。

「20万円以下の雑所得は非課税」というもっともらしい嘘を信用している人が意外に多いのですが、確定申告をしないで済む人が免れる税金は所得税だけであり、住民税からは逃れることはできません。雑所得が1万円でも10万円でも住民税は支払う義務があるのです。

住民税の申告方法は自治体によって微妙に異なりますが、申告自体は確定申告よりもずっと簡単です。ネット上の手続きで必要書類を取り寄せられる自治体もありますので、まずはお住まいになっている地域の自治体のホームページなどで申告方法を確認してみることをお勧めします。

住民税の税率は、所得税とは異なり「一律10%」です。雑所得は必要経費が認められますので、ビットコインに関する書籍や取引にかかったコスト、セミナー参加費やその際の交通費などを経費として計上するなどして納税額を減らすことも可能です。

普通徴収であることの確認を忘れずに

確定申告をする際には所得税の申告と同時に住民税の申告も行われますので、住民税の申告だけをする際と同じ様に住民税の支払い方法として「特別徴収」か「普通徴収」かを選べるようになっています。

「特別徴収」とは納税者が直接納税するのではなく、会社の給料からの源泉徴収されることによって納税する方法で、実際の納税作業は会社が行います。「特別徴収」を選択すると給与から分割払いで自動的に納税できるため支払い忘れもなくて便利なのですが、給与の支払い会社に対して自治体から住民税の税額が通知されますので、給与所得の他にも所得があることがバレてしまいます。

会社に対して給与以外の所得があることが通知されても問題のない人は、払い忘れや支払い手続きの必要がない「特別徴収」を選んでも問題ありません。現在では副業を認めている会社も増えてきていますので、副業による所得が給与所得を大きく上回るようなことがない限り、あまり大きな問題にはならないだろうと思います。

しかしながら、副業による収入がそれなりの金額であった場合、「あの社員は副業にばかり力を入れている」「怪しいビジネスでも始めたのではないか」などといった風評被害を受ける可能性もありますので注意が必要です。

「やはり会社には給与以外の収入があったことは知られたくない」という人は「特別徴収」ではなく「普通徴収」を選択してさっさと納税を済ませてしまいましょう。「普通徴収」とは会社を経由することなく自分で直接納税する方法ですので、「普通徴収」で納税すれば会社にビットコインによる利益を知られるリスクはありません。

ここで注意してもらいたいのが、納税時に「普通徴収」を選択しても「特別徴収」されるリスクがあるということです。

最近の自治体では、住民税はなるべく「特別徴収」で処理して徴収効率を高めようとする動きが顕著になってきており、納税時の書類では「普通徴収」を選択していたはずなのにどういう訳か「特別徴収」になっていたというケースも見られるようになってきました(なんだかんだと理由をつけて「普通徴収」にしてくれない自治体もあるようです)。

自治体によって対応が異なりますので断言はできませんが、書類で「普通徴収」を選んだだけで安心せずに、実際に「普通徴収」として処理しているかどうかの確認を自治体に行っておいたほうが安心です。

ビットコインによる脱税はハイリスク

「ビットコインを日本円に交換すると税金がかかるが、ビットコインで商品を購入すれば税金はかからない」、「ビットコインを他の仮想通貨に交換した場合は税金がかからない」、「海外の取引所を利用すれば日本の税法は適用されない」、「ビットコインの取引による利益が20万円以下なら税金はかからない」、「去年500万円の利益が出たが、今年は既に600万円の損失が出ているので税金はかからない」・・・・・・。

上記全てのケースにおいて税金の支払い義務があります。

FX取引が日本でブームになった頃は、FX取引による所得も雑所得という扱いでした。当時は普通の主婦でも何億円もの利益を手にする人が現れるような時代で、私が取締役をしていた会社の顧客にも何名かの「ミセス・ワタナベ」が「億り人」になりました。

しかし、中には税金を納めることを忘れていた方もおられ、後日国税から調査が入り、脱税と認定されたお客様もいらっしゃいました。

雑所得に対する所得税は総合課税の対象となるため最大45%の税率が適用されます。ビットコイン長者を狙って調査すれば大きな税金とペナルティーによる無申告加算税や延滞税、重加算税などを得ることができますので、今年の税務調査ではビットコインが最大テーマになりそうです。