コロナショックで「つみたてNISA」に評価損が出る人と出ない人の差って何?

シェアする

コロナショックで急落した株式市場が「つみたてNISA」利用者の運用実績にも大きな影響を与えています。評価損益がプラスの方もいれば、ここ1週間でマイナスに転落している方もいらっしゃると思いますが、この記事ではその差がどこから生まれてくるのかを解説し、株価急落への対応策についてご提案しています。

つみたてNISAで評価損が出ているケースは限定的

コロナウィルスの感染拡大に伴う経済活動の停滞が顕在化しはじめ、NY株式市場では1週間で12%以上も株式市場が急落しています。株式市場の急落はNY市場だけではなく、世界中の株式市場で発生しており、週間下落率だけで見ればリーマンショック以来となる大幅な世界同時株安が個人金融資産の評価損益にも大きな影響を与えています。

このような環境の中、「つみたてNISA」で評価損失を出しているのは以下のケースに該当する方にほぼ限定されており、「長期」、「分散」、「積立」を正しく実践されている方には大きな評価損失は出ていないものと思われます。

つみたてNISAの積立期間が短い場合

「つみたてNISA」では年間40万円までの範囲で最長20年間の積立投資を行うことができ、実現したリターンには課税されずに利益の全額を手にすることができるという素晴らしい制度です。

ただし、スタートしたのが2018年1月ですので、私のようにスタートと同時に積立を開始した場合でも積立期間はわずか27ヶ月間しかありません。

「つみたてNISA」は個人投資家が株式市場を利用して最も確実にリターンを得るために必要だと金融庁が考える3つの要素である「長期」・「分散」・「積立」の全てを取り入れることが前提となっている制度です。

しかしながら、制度がスタートして2年3ヶ月という「長期」と呼ぶには短すぎる期間しか経過しておらず、特に「つみたてNISA」の積立開始から1年未満しか経過していない方につきましては現時点で評価損が出ている方もいらっしゃいます。

以下は私が楽天証券で2019年1月から運用している「つみたてNISA」の2020年3月7日時点の運用実績です。運用期間としては1年と3ヶ月目ということになりますが、評価損益はわずかながらマイナスとなっています。

◆2019年1月から2020年3月7日までの運用実績

ちなみに私のポートフォリオは100%を株式で運用するという最もハイリスク・ハイリターンなものになっており、株式市場の動きに合わせて大きく評価損益が変動しますので、初心者の方にはオススメできません。

日本の株式市場に集中して投資している場合

私のように「つみたてNISA」の制度開始から運用をスタートされた方は概ねプラス運用を維持しているはずですが、「分散」という要素を無視して日本の株式市場に集中的に投資をするような投資信託だけでポートフォリオを組んでいる方の中にはそろそろ評価損が出始めている方もいらっしゃるはずです。

「つみたてNISA」における重要な要素である「分散」を無視した場合、どうしてもパフォーマンスには大きなブレが出ます。

日本に住んでいるので日本の株式市場に投資しているのが安心だという「ホームカントリーバイアス」によって海外の株式市場への投資を敬遠されている方は、以下のチャートをよくご覧になってポートフォリオの見直しを検討されてみてはいかがでしょう。

◆日経平均株価の動き

◆NYダウの動き

世界の株式市場において日本の株式市場が占める割合は10%もありません。また、日本の株式市場は長期にわたって日銀が買い支えているという状況にもかかわらず、米国株に比べて上値が重いという現状を考えると、安易に日本の株式市場に集中的に投資することで得られるリターンは、リスクに比べて十分に大きいとは考えにくいというのが私の正直な意見です。

私の運用実績とポートフォリオの見直し

「つみたてNISA」がスタートした当初の1年間、私は松井証券を利用していたのですが、積立のための入金や振替が面倒になって2年目からは楽天証券を利用しています。

楽天証券を選んだ理由は楽天ポイントと楽天カードを利用して「つみたてNISA」を積み立てることができたからですが、今となっては松井証券でも自動引落や自動振替が可能となっており、どちらを利用しても問題はないかと思います。

最初の1年間利用した松井証券での運用状況は以下の通りです。TOPIXに連動する投資信託だけが評価損を出していますが、米国株、世界株についてはコロナショック後の現在でも評価益を維持できています。

◆2018年1月から12月までの積立分の評価損益

2年目以降の楽天証券での運用状況は既にご覧頂きましたとおり、日本株を含まない投資信託だけで見るとリターンマイナスは0.3%未満ですが、TOPIXに連動する投資信託はマイナス7%と突出して高く、日本株を含む世界株も1%前後のマイナスリターンになっています。

2018年1月から2020年3月7日までのトータル運用では数千円程度の評価益が出ている状態ではありますが、日本株が大きく足を引っ張っているという事実は無視する訳にはいきません。

リーマンショックの直前からNYダウと日経平均に積立投資をしていた場合を比較するとリーマンショックから3年後のリターンはNYダウの場合は25%程度、日経平均株価の場合は8%程度であったことを考えると、2020年4月の積立からはTOPIXに連動する投資信託の積立を世界株への積立に振り替えて、「つみたてNISA」における日本株のシェアを低くしたいと思います(積立設定は既に変更しました)。

この判断は「日本株が下がったから買うのをやめてしまう」という初心者がやりがちな短絡的なものではありません。

世界同時株安という局面からの回復速度と回復幅という点でも最も回復速度が遅く、回復幅が小さいのは日本株になりそうだという私の個人的な予測に基づき、他の先進国の株式市場に乗り換えることで投資効率を高めたいと考えた結果です。

まとめ

コロナショックによる世界同時株安が「つみたてNISA」の運用に一時的な悪影響を与えていることは事実ですが、「長期」、「分散」、「積立」の3つを正しく実践している方であれば、現時点で評価損を抱えるような方はほとんどいらっしゃらないものと思われます。

「つみたてNISA」をスタートして1年未満の方は不安のあまりに「つみたてNISA」から撤退しようと考える方もいらっしゃるかも知れません。しかし、積立投資は10年、20年というスパンでリターンを狙う投資手法であり、1年や2年の運用結果で一喜一憂することに意味はありません。

一方で、国際分散が不十分なポートフォリオのせいで評価損が膨らんでいる方についてはコロナショックをよい機会だと考え、日本の株式市場以外にも積極的に投資するポートフォリオに変更されることをおすすめします。

また、今回のような株式市場の急落にメンタルが耐えられないという方は、債券への投資比率の高いバランスファンドへの乗り換えを検討されてはいかがでしょう。