長期積立投資を始める前に知っておくべきデメリットとは

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最近は「iDeCo」や「つみたてNISA」などといった長期積立投資の話題を耳にすることが増えてきました。長期積立投資は正しい方法で実践さえすれば、個人投資家にとって最も安定的な資産運用手段となり得ますが、メリットばかりが強調される反面、デメリットについてはあまり語られることがありません。

今回は長期積立投資を始める前に知っておくべきデメリットをお伝えすることにより、長期積立投資の本質について解説していきます。長期積立投資の本質を予め理解してから運用をスタートすれば、相場状況に一喜一憂することもなく、資産運用の成功率を高めることができるはずです。

知的なゲームとしての醍醐味がない

多くの人が投資と聞いてイメージするのは「安く買って、高く売る」、「将来価値が高まりそうなものを価値が高まる前に購入しておき、価値が高まった時に売って利益を得る」というのが一般的なものだと思われます。誰もが気づく前に潜在的な価値を見極める能力を武器にして、比較的短期間で大きな利益を手にすることこそが、投資の醍醐味であり、そこには知的ゲームとしての夢が詰まっています。

長期積立投資では短期間に大きなリターンを得るという夢やロマンは全くありません。短期間で大きなリターンを得ることを放棄する代わりに、長期間で安定したリターンを狙うのが長期積立投資の本質なのです。そもそも長期積立投資を行う人は、「現在のように情報の伝達速度が早くなり、投資環境が整備されている状況下において、特定の個人のみが入手できる有益な情報などは存在せず、市場平均を上回るような投資手法などどこにもない。」という考えがベースになっています。

長期積立投資はゲームではなく単なる作業であり、一旦投資先を決めてしまえば、「いかに手間をかけずに投資コストを下げることができるか」ということだけが関心事となります。

常に平均点を狙うという味気なさ

受験勉強を例にして考えてみると、特定の教科だけが受験科目となっている偏差値の高い私立大学の過去の問題を徹底的に絞り込んで勉強することにより、他の受験者よりも少しでも高い得点を獲得して合格を目指すというスタイルが一般的な投資の考え方です。

これに対し、全ての教科に対して平均的な得点がとれるように勉強し、偏差値の高い大学に行くことは諦める代わりに、偏差値50の大学には確実に合格できるようにコツコツと勉強するのが長期積立投資の考え方です。

特定の教科に絞って特定の大学の過去問題しか勉強しなかった場合、もしも出題傾向が変更され、第一志望大学の受験に失敗した場合、次の第二志望、第三志望の大学に合格するためには偏差値の低い大学を選ばなければ浪人するリスクが高まります。

これに対して、全ての教科で平均点が獲得できるように勉強してきた人は第一志望大学の偏差値が50なので、合格する可能性が高く、第一志望の受験に失敗しても、第二志望、第三志望の大学についても偏差値をあまり下げなくても合格を勝ち取る可能性が高いと考えられます。

浪人する覚悟で偏差値の高い大学にチャレンジするか、現役合格を目指して無理のない平均的な大学を受験するかはリスク許容度の違いです。受験である以上、どちらの場合も不合格となるリスクはあるのですが、リターンを犠牲にしてリスクを小さくするという考え方に賛同できる人は長期積立投資に向いていると言えます。

積立てた資金を引き出せない

長期積立投資の威力を最大限に発揮するための唯一の方法は「積立て続ける」ことです。途中でお金を引き出してしまうと、税金分だけ投資資金が減ってしまいますし、複利運用の効果によるメリットを享受することができなくなってしまいます。

ここで複利運用による効果について簡単に説明しておきます。例えば、100万円の資金を年利5%で30年間運用する場合について考えて見ましょう。毎年発生する利益を引き出して30年間運用した場合、30年後までに手にするのは毎年発生した5万円の利益が30年分で150万円と元本の100万円の合計250万円となります。

それに対して、毎年発生する利益を引き出さずにそのまま運用した場合、「元本部分とは別に、利益部分からも利益が生まれる」という複利効果の影響で、30年後には元利合計で432万円の資金を手にすることができます。このように複利と単利の差は100万円の元本に対して30年間で182万円という大きな差になり、長期積立投資はこの複利効果を利用するからこそ安定的なリターンを得ることができるのです。

まとめ

長期積立投資は大きなリターンを期待する人には向かない投資手法です。また、投資を知的なゲームとして楽しみたいと考えている人にも向かない投資手法です。そして、遠い将来に向けて決して投資をやめることなく、投資した資金を引き出さないという覚悟のない人は結果を出すことができない投資法であると言えます。

長期積立投資は正しい方法で行えば、誰がやっても同じ結果が出るという再現性の高さが初心者にとっては大きな魅力です。ここ数年で投資信託の運用コストが劇的に低くなり、「つみたてNISA」や「iDeCo」などの非課税制度も充実しており、長期積立投資をスタートする環境は整ってきています。

上記のようなデメリットを事前に理解した上で、リーマンショックのような相場急落時においても投資を続けることができる信念を持って長期積立投資をスタートし、老後のための資産をしっかりと積み上げていきましょう。長期積立投資に最適な非課税制度の利用法や具体的な投資方法については以下の記事にまとめてありますので是非ご覧下さい。

「つみたてNISA」や「iDeCo」といった非課税制度は長期間に渡って金融資産を積み上げることにより、公的年金だけでは不足しがちな老後の資金を準備するのにぴったりな制度です。今回は「iDeCo」や「つみたてNISA」で成功するために最も大切なことを基本的な考えやテクニックと共に解説していきます。

この記事では「iDeCo」と「つみたてNISA」のメリットやデメリットについて説明し、これらを組み合わせて利用することで計画的に老後資金を積み立てていくための具体的な方法について解説しています。