業界人が教えるFX会社が経済指標発表時にスプレッドを広げる理由

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FX会社は原則固定スプレッドという表現で売り買いのレート差をほぼ固定しいています。例えば、ドル円の取引であれば、ほとんどのFX会社が0.3銭という非常に狭いスプレッドでレートを提示しています。しかし、時々スプレッドが10倍以上に広がる時があるのをご存知でしょうか。

FX会社のスプレッドが広くなる時にはそれなりの理由があります。この記事では特にスプレッドが大きく広がる経済指標発表時のFX会社のディーリング部門によるスプレッド操作について解説していきます。

FX会社はスプレッドが最大の収益源

FX会社が顧客に提示するレートは買値が売値よりも安くなっており、その差をスプレッドと言います。このようにFX会社は常に顧客に対して「安く買って高く売る」ことが可能なレートを提供し、その差額で儲けているのです。

FX会社のほとんどが「手数料無料」を謳っているのは手数料を取らなくてもスプレッドで儲けることができるからです。

スプレッドが広くなるということは、手数料が高くなることと同じです。FX会社が好き勝手にスプレッドを広げてしまうと顧客は好き勝手に手数料を割増徴収されてしまうことになります。

そこで、FX業界は自主規制によって「原則固定」に95%ルールを導入しています。提示レートのうち95%は顧客と約束したスプレッドを守るというルールですが、5%は好きにしていいというルールでもあります。

ルールをすり抜けるFX会社も

「コアタイム制」という言葉には注意が必要です。例えば、コアタイムが「8時から27時(午前3時)」という会社の場合、コアタイム以外の午前3時から午前8時までの5時間については好きなようにスプレッドを広げることができます。

コアタイム(8時から27時)原則固定とは、現実的には1日のうち約25%はスプレッドを広げることができるということを意味しているのです。

「主要市場の祝祭日は除く」というルールのところもあります。海外の祝祭日は厳格な決め事ではないケースも多く、日本では平日のため気がつかない人も多いので注意が必要です。

FX会社のカバー取引の仕組み

FX会社は顧客からの注文を一旦自社で引き受けます。顧客の買い注文には自社の売り注文をぶつけて一旦成立させますし、顧客の売り注文には自社の買い注文をぶつけて一旦成立させます。

しかし、このままの状態では顧客と常に反対のポジションを持つことになり、顧客の損は会社の利益、顧客の利益は会社の損という状態となってしまい、相場の動きで会社の収益が左右されてしまいます。

そこで、FX会社は一旦自己で引き受けた注文をカバー先金融機関(主に外銀)に引き受けてもらいます。このように顧客からの注文をカバー先に流す取引をカバー取引と言います。FX会社は適切にカバー取引をすることによって自社でポジションを持つことなく経営を安定させています。

FX会社のスプレッドはカバー先に依存

FX会社はカバー先金融機関から提示されるレートを参考に顧客への提示レートを決定しています。ところがカバー先金融機関がFX会社に提示するレートのスプレッドは原則固定ではありません。

普段はカバー先金融機関がスプレッドを広げてもFX会社は95%ルールを守るためにできるだけ顧客へのレート提示ではスプレッドを広げないように努力をしていますが、重要な経済指標の発表時についてはほとんどのFX会社が数秒~数分程度のスプレッド拡大を実施しています。

重要な経済指標が発表される直前から直後においてはカバー先金融機関がFX会社に提示するレートのスプレッドは極端に広がります。また、カバー先金融機関によってはレート提示を停止したり、提示レートでカバー取引を発注しても注文を拒否してきたりします。

このような状況で、もし、FX会社が顧客に提示するレートのスプレッドを広げなければ、FX会社が行うカバー取引において損失が発生するリスクが高くなりますので多少のスプレッド拡大は仕方ないと言えます。

経済指標発表時はFX会社の稼ぎ時

重要な経済指標発表時のスプレッドが広がるのは仕方ないことですが、FX会社の中には明らかにスプレッドを広げ過ぎていると感じる会社もあったりします。

経済指標発表時はFX会社にとって非常に重要な稼ぎ時になっていることは事実です。FX会社によっては米国雇用統計の発表から数十秒で何百万円、何千万円という売上が発生しています。この売上の一部はスプレッドの拡大によって発生していることは間違いありません。

わざわざスプレッドが広がることがわかっている経済指標発表時に取引をする方は、普段以上のコストを支払うことを覚悟の上で、激しい値動きに期待して取引をされている方だと思います。

初心者の方は経済指標発表直後は相場の流れを確認するだけにして、スプレッドが落ち着いたタイミングを見計らって取引されることをオススメします。