銀行の窓口ではリスク商品も売られていることを忘れずに

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日本人は貯蓄には熱心でも投資にお金を回さない人が多いこともあり、貯蓄商品を主に扱う銀行には莫大な個人資産が眠っています。

ところが銀行はいくら莫大な個人資産を預かっていても、マイナス金利時代に突入した今日の日本の金融市場では、本業の貸出業務だけで経営していくにはいささか困難な状況が続いています。

そこで銀行の窓口業務においては証券会社や保険会社の商品を自行の顧客に販売することで手数料収入で稼ぐ方向にシフトしています。

ここで気をつけてほしいのは、証券会社や保険会社が銀行に支払う販売手数料を間接的に負担しているのは、銀行の窓口販売を経由して他社の金融商品を買ったお客様だという事です。

この記事では銀行の窓口販売の変遷を振り返りつつ、現在銀行が窓口で取り扱っている金融商品について解説していきます。

銀行は安全だという思い込みは危険

銀行は投資信託の販売を開始

昔から銀行では預金に代表される「元本保証」の商品をメインに扱ってきたのに対し、証券会社は株に代表されるハイリスク・ハイリターンの商品をメイン扱ってきました。このような歴史的背景から自然発生的に生まれた銀行に対する信頼は今でも国民に根強く受け継がれています。

ところが今の銀行は証券会社が扱ってきたリスクのある商品も扱うようになっています。にもかかわらず未だに銀行の勧める商品は安全だという思い込みで、よく内容を理解しないままリスク商品を購入してしまい、後からトラブルになるケースが増えています。

銀行が最初に窓口で販売したリスク商品は投資信託で、1998年に「日本版ビッグバン」の一環としてスタートしました。当時の販売手数料は2%から5%程度でしたので、投資信託の販売は当時の銀行にとって非常に魅力的なビジネスでした。

しかし、米国における投資信託の販売手数料が0.59%程度であることからも明らかなように、日本の投資信託の販売手数料は割り高な水準であるという認識が広まるにつれて、現在では販売手数料の引き下げが進んでいます。大手ネット証券では手数料がゼロ(ノーロード)の投資信託が売買の中心となってきています。

銀行は外貨建ての保険も販売

そこで銀行が次に窓口で販売することになったのが保険です。最初のうちは銀行が通常扱っている元本保証の貯蓄商品と親和性のある貯蓄性の高い円建ての保険が中心でしたが、日本の市場金利が低くなり、マイナス金利政策まで進んでいく過程でこのような保険は運用難に陥り、徐々に販売額を落としていくことになりました。

そこで保険会社が力を入れ始めたのが外貨建ての保険です。外貨建て保険は円建てのシンプルな保険と比べると仕組みが複雑な分だけ運用に手間がかります。その結果、どうしても手数料が高くなってしまい、様々な手数料を加味すると恐らく7%~9%程度にまでになる商品もあるようです。

外貨建て商品ですので為替リスクをもろに受けるだけでなく、手数料で7%も取られてしまうのであれば、顧客にメリットを提供するためにはかなり高いリターンを出す必要あります。

もちろん金利の高い外貨で運用する訳ですから為替の動き次第ではリスクに見合ったリターンが見込める可能性もあります。購入される場合はその商品のリターンとリスクのバランスや手数料についてしっかりと事前に確認しておきましょう。

個人的には退職金などの運用先として外貨建ての保険を選ぶことには賛成できません。もう少しリスクが小さくコストの低い運用先を選択すべきだと考えます。

銀行は販売する商品の手数料を開示

金融庁は金融機関に対して「フィデューシャリー・デューティー」の精神を求めています。フィデューシャリー・デューティーについて一言で説明すると「金融機関は自社の利益ではなくお客様の利益を最優先して営業しなければならない」ということを言っています。

このフィデューシャリー・デューティーの精神からすると、銀行はお客様にとって最適な商品を提案しなければならず、自社が手にする手数料が高いものを優先して販売するようなことがあってはなりません

そのような環境をつくるため、金融庁は銀行に対し、自主的に自社が販売する商品の手数料を開示し、その上で顧客に選択をさせるよう求め、その結果、2016年の8月あたりから銀行は外貨建て保険の販売手数料を開示し始めました。

このように銀行が自主的に手数料を開示したことは非常に素晴らしいことだと思います。ただ残念なことに、一部の金融機関はそれまで手数料が8%だった商品をそのまま開示するのではなく、初年度は5%、次年度から5年目までは毎年0.7%というように徴収時期を変更したりところもありました。

別に悪いことをしている訳ではないですし、手数料だってちゃんと開示しているのですが、フィデューシャリー・デューティーの精神とはすこし違うような気がします。

銀行のカードローンでも自主規制

現在の銀行ではカードローンにも力を入れています。消費者金融業界が高収益をあげていた時代、銀行は消費者金融会社にお金を貸し付けたり消費者金融会社を子会社化したりして間接的に消費者金融ブームに乗って収益をあげていました。

ところが返済に困って自己破産に追い込まれる人が増えたことから社会問題化し、貸出の総量規制が実施されることになると消費者金融業界のブームは終焉に向かい始めます。そこで銀行は銀行本体でのカードローンに力を入れはじめました。

消費者金融業者は総量規制によって、借入をする人の年収に対して3分の1までしかお金を貸すことができませんが、銀行のカードローンは総量規制の対象となっておらず、簡単な即日審査で総量規制を気にすることもなくお金を貸して、高い貸付金利を受け取ることができたのです。

しかしながら、金融庁はここにもメスを入れました。その結果、フィデューシャリー・デューティーの精神に則り、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行などのメガバンクが揃って自主規制を実施し始めました。

金融庁が掲げるフィデューシャリー・デューティーの精神が少しずつ金融業界に浸透してきたことは我々利用者にとって喜ばしいことだと思います。

<2017年9月26日追記>

2017年第二四半期における銀行窓口向けの生命保険の外貨建て保険のシェアがついに7割を超えました。これまで円建ての保険しか扱ってこなかった明治安田、住友、太陽なども今年度から外貨建てに参入しています。仕組みが複雑なものも増えてきていますのでご購入の際はリスクや手数料などを事前に確認し、余裕資金の範囲でご検討されることをオススメします。