不要な保険を解約して貯蓄に回す方法

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自動車をお持ちなら自動車保険への加入は必要だと思います。賃貸か持家かにかかわらず、住まいに火災保険をかけるのも義務のようなものです。

海外旅行に行く時などにも保険をかけておいたほうが安心ですよね。これらの保険は全て損害保険会社が扱っているもので、万一のリスクに備える掛け捨ての保険です。

それでは学資保険や個人年金保険はどうでしょう?

これらは確実にやってくる将来のイベントに備えた貯蓄であって、万一のリスクに備えるという本来の保険の目的とは完全にズレています。

この記事では保険をムダなく上手に利用するための基本的な考え方を解説し、今本当に必要な保険とはどのような保険なのかについて考えていきたいと思います。

蓄えができるまでは保険で安心を買う

自分に万一のことがあっても遺された家族が生活に困ることがないように、大勢の人が少しずつお金を出し合って、お互いに支え合うという考えで生まれたのが生命保険です。

例えば30歳で既に3000万円の貯蓄があるなら、死亡時に3000万円を家族が受け取れる保険に入るよりも、毎月の保険料を支払う代わりにiDeCoで積み立てをして節税メリットを享受した方が絶対にお得です。

健康な30歳の人が今後10年間で死亡する確率は1%未満ですが、同じ30歳でも100万円しか貯蓄がないのであれば、無駄金になるのを承知の上で保険に加入して、死亡時に3000万円のお金を家族に残していけるという安心感を手に入れるという考え方こそが保険の基本です。

このように、人生の中で、保有している資産あるいは貯蓄額が十分ではない時期において、めったに起こることではない事態に備えるのために必要な手段が保険なのです。

保険と貯蓄は分けて考える

2016年2月から始まった日銀のマイナス金利政策の影響で、今は保険に資産運用の役割を求めることができなくなっています。

マイナス金利によって国債の利回りも低下し、保険会社も運用先が見つからず、銀行の窓口販売で人気のあった「円建ての一時払い終身保険」の取り扱いも中止されてしまいました。

そこで保険会社は表面上の利回りが高い外貨建ての保険にシフトし、銀行窓口でもこの外貨建て保険を退職金の運用先として積極的に販売するようになりました。今では銀行の窓口販売の7割が外貨建て保険になっています。

同じことは学資保険にも言えます。今の学資保険はマイナス金利の影響でわずかな利回りしか出せないうえに、保険料として支払ったお金は長期間拘束されてしまうというデメリットだけが目立つ保険となっています。

また、学資保険をスタートして数年後に経済的な事情が変わってしまい、保険料が支払えなくなってしまうようなことになると大変です。一般的に10年未満での解約では、積み立てたお金の一部は戻ってこないからです。

子どもの学費を準備することはとても大切ですが、今のような低金利であれば、わざわざ学資保険を利用しなくても銀行の積立預金を利用して流動性を確保しておく方が安心です。

多少のリスクが許容できるのであれば、NISAなどの非課税制度を利用して少額ずつ手数料の低いETFで分散投資をしておけば、いつでも換金可能ですし、利回りにも期待できます。

また2018年1月からスタートする「つみたてNISA」を利用して流動性を確保しつつ非課税の積立投資を行うことも選択肢の一つです。

20代から30代の方が始める資産運用としてはなかなか良くできているこの「つみたてNISA」。この非課税制度を使わないのはもったいないです。この記事では投資経験のない20代、30代の方が「つみたてNISA」を簡単に理解して賢く利用できるようにまとめてみました。

「学資保険だと親が死亡した時にも安心だ。」という声が聞こえてきそうですが、その考え方も正しいとは言い切れません。

ご指摘の通り、例えば、学資保険をスタートしてから1年で親が死亡した場合、その後の保険料の支払いは免除されますが、親が死んでも満期まで受け取れない学資保険よりも、掛け捨ての定期生命共済に入っている方が、少額の掛け金で、より多くのお金を即時に家族に渡すことができます。

このように、保険と貯蓄は別々に考えることで、経済環境の変化にも対応でき、遺された家族に必要なお金を必要なタイミングで効率よく受け取ってもらうことができます。

医療保険は保障が不十分なケースも

そもそも若い人は長期間入院するような病気にかかる確率が低いうえ、万一、病気による医療費が高額になったとしても健康保険の高額療養費制度によって月額8万円程度が自己負担の上限となっているため、医療保険に加入するメリットはほとんどありません。

60歳を超えると長期入院のリスクは高まりますが、現在の医療保険の商品性では1つの病気に対して保障してくれる入院期間が不十分な場合が多く、本当に必要な時に十分な保障が得られないケースも見られます。

例えば、1981年以来、日本人の死因第一位は長年に渡って「がん」となっており、全体の3分の1を占めています。

従って、がん保険に加入している人がガンを発病する確率はかなり高くなることが想像され、たとえガンを発病したとしても十分な支払いを得ることは期待しづらい状況です。

もし、十分な支払いを受けることが可能なのであれば、かなり割高な保険料を支払っているということになります。つまり、「がん」にかかっても支払ってきた保険料と大差ない金額しか多めに受け取れない可能性があるということです。

高齢化が進む日本において医療保険は十分な商品性を提供することが困難な商品となっています。医療保険に頼るよりも、少しでも貯蓄を増やすこと、そして日々の生活の中で健康を維持していく努力を続けることが最も重要です。

保険会社は取り分を開示してくれない

私達が保険会社に支払った保険料の総額に対し、ほとんどの保険会社はいくらの金額を私たちに支払ったのかを開示しません。保険の種類によって還元率は異なりますが、商品ごとの還元率を開示してくれればその保険に対する期待収益を計算し、他の保険との比較が可能となります。

例えば、あるガン保険の還元率が50%、保険加入者が全部で10人、一人あたりの支払い保険料が100万円だとすると、保険会社には10人✕100万円=1000万円の保険料が入りますが、そのうちの500万円は経費として保険会社が受け取ります。

その後、保険に入った10人のうち3人がガンを患った場合、500万円を3人で分け合うことになりますので一人あたり166万円の支払いを受けるということになります。ところが還元率が80%の保険の場合、一人あたりの受取額は266万円になります。

あなたならどちらの保険に入りますか?

県民共済や一部の民間保険会社では参考となる数値を開示していますが、大半の保険会社は還元率を開示していませんので、現状ではこのような比較は不可能です。

還元率は販売手数料や保険会社の人件費、広告費、事務経費などの影響を強く受けます。従って、ネット専業の保険会社では販売手数料などが割安に設定されていますし、人件費や事務経費も大手の保険会社と比べて少ないため、還元率は高くなる傾向があるものと考えられます。

また、外貨運用の貯蓄機能や特約などを組み合わせた複雑な保険商品は運用にコストがかかりますのでシンプルな保険商品よりも還元率が低くなっているものと思われます。

あくまで私の個人的な見解ですが、保険の還元率は県民共済で90%前後、民間の保険会社では商品によって50%~80%くらいではないかと想像しています。

金融庁が推し進める「フィデューシャリー・デューティー」の考え方からすると、保険会社は還元率などの情報を開示し、消費者が安心して自分に必要な保険商品を選べるようにすべきなのですが、残念ながら、現状では一部のネット専業保険会社や県民共済などを除くと開示の状況は十分とは言えません。

保険は利用の仕方さえ間違わなければわずかな掛け金で安心を手にすることができます。原則として、保険と貯蓄は分けて考え、可能な限り掛け捨てタイプのシンプルな保険を選ぶようにしましょう。

この記事は2017年10月14日に情報を更新しました