ロボアドの国際分散投資を「iDeCo」で再現するための具体的な方法

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ロボットの画像

ロボアドが行っている国際分散投資を参考にすれば、ほぼ同じ運用を「iDeCo」再現することが可能です。「ウェルスナビ」、「マネックスアドバイザー」、「楽ラップ」といったロボアドの運用成績に満足している人も多いと思いますが、「iDeCo」でも同じ運用をすることは可能です。

「iDeCo」の投信は20本前後が普通

これまで日本では、投資家が投資信託を購入してから売却するまでの期間(保有期間)は平均3年~4年程度というのが一般的でした。従来からの考えでは、投資信託は販売手数料を支払って購入し、保有期間中は高い信託報酬を支払い、売却時には信託財産留保額といったコストまで支払うというのが当たり前の金融商品で、金融機関から見て非常に旨味のある商品でした。

金融機関が顧客に投資信託の営業を場合、できるだけ短期間で次々と新しい投資信託に乗り換えさせることが利益の最大化につながる訳ですから、投資信託の平均保有期間が短くなるのは当然の結果だといえます。

しかしながら「iDeCo」で扱う投資信託は販売手数料が無料であるため、短期で乗り換えさせるメリットがありません。むしろ今までとは逆に、金融機関としてはなるべく取り扱い商品を少なくして乗り換えによる事務コストの負担を下げたいというのが本音です。

このような事情から、金融機関が「iDeCo」で取り扱う投資信託の数は一金融機関あたり20本前後というところが多くなっていますが、同じ20本と言っても取り扱う投資信託の中身は金融機関によって特色が見られます。

「iDeCo」を利用する金融機関を選ぶ際には取り扱っている投資信託の数ではなく、中身をしっかりと確認するようにしましょう。「iDeCo」で利用する金融機関の選び方については以下の記事でまとめてありますので、是非参考にしてみて下さい。

iDeCoの節税効果は分かったけど、どの証券会社でどうやって運用すればいいのかが良く分からない。こんな理由でiDeCoを利用せずに年間何万円も税金を多く支払っているなんてもったいなですよ。この記事はそんなあなたの疑問を解消する大きな手助けになるはずです。

つみたてNISAではなくiDeCoで運用

ロボアドが行っているポートフォリオ運用を真似する場合に、「つみたてNISA」ではなく「iDeCo」を利用するのは「リバランス」の問題があるからです。「つみたてNISA」をご存じないという方は、以下の記事で詳細に解説していますので是非ご覧下さい。

「つみたてNISA」に興味はあるけど、具体的にどのような制度なのか良く知らないという人にむけて、事前の知識がゼロでも3分で「つみたてNISA」の制度を理解してもらい、自身を持って運用をスタートして頂けるように解説してみました。

ここで「リバランス」について簡単に説明しておきます。ロボアドで行われている運用は、利用者のリスク許容度に合わせて資産クラスごとに投資する金額の比率(分散比率)を決定しています。

一度決定した分散比率はその後の運用でも維持する必要がありますが、時間の経過に伴って、ある資産クラスが値上がりし、別の資産クラスは値下りするといったことが起こることで分散比率は意図したものからズレてしまいます。

このズレを修正して正しい分散比率に戻すことを「リバランス」と言います。具体的には、値上がりした資産クラスの一部を売却し、売却によって得た資金で値下りしている資産クラスを買い足すことで正しい分散比率に戻します。

この「リバランス」自体は新たな資金を投入して行う訳ではなく、元々保有していた資産クラスを売却した資金で値下りしている資産クラスを購入するのですが、「つみたてNISA」では「購入」という行為は追加した資金で購入しようが、売却資金で購入しようが同じように扱われるという理不尽なルールがあり、これは従来からある一般NISAも同様です。

ロボアドによっては毎月のように「リバランス」を行うものもありますが、このような「リバランス」を「つみたてNISA」で行ってしまうと、リバランスによる購入額の分だけ、その月の新たな積立による購入額が減額されるリスクがあります。

これに対して「iDeCo」では「リバランス」による購入と新規の積立購入とは区別されているため、計画通りに積立投資を行いながら、自由に「リバランス」を行うことが可能です。

特定口座で「リバランス」を行うと値上がりした資産クラスを売却した時点で税金が引かれてしまい、運用資産が目減りしますが、「iDeCo」の運用益は非課税ですのでロボアドよりも効率的に「リバランス」を行うことができます。

投資信託でポートフォリオを組む

「iDeCo」の運用で、ロボアドのような国際分散投資を前提としたポートフォリオ運用を忠実に再現する場合、「国内株式」「先進国株式」「新興国株式」「国内債券」「先進国債券」「国内不動産」「海外不動産」「金(GOLD)」という8つの資産クラスに分散投資することになります。

また、ロボアドの運用ではパッシブ運用のインデックスファンドやETFが投資対象となっていますので、「iDeCo」でロボアドと同じ運用を目指すのであれば、アクティブ運用の投資信託は選ばないのが原則です。

もちろん、国内株式に投資する投資信託ではお好みによって「ひふみ年金」のような比較的低コストで運用実績の良いアクティブ運用の投資信託を選ぶことでオリジナリティーを出すという考え方も悪くはないと思います(運用の結果もオリジナルとなりますが)。

金融機関によっては上記の8つの資産クラスを運用対象とするインデックスファンドの全てが揃わない場合もあるかと思いますが、バランス型の投資信託を上手く利用すればほとんどの金融機関でロボアドと同じようなポートフォリオを組むことは可能です。

「ウェルスナビ」を参考にする場合

「ウェルスナビ」は国内ロボアドNo.1の契約件数と契約資産を誇るロボアドで、米国市場に上場する低コストで流動性が高いETFに投資するロボアドです。「ウェルスナビ」のことをご存知ないという方は以下の記事で詳細に解説していますので是非ご覧下さい。

数あるロボアドのサービスの中で、ウェルスナビは預かり資産、利用者数においてNo.1のトップブランドであることは間違いありません。今回はウェルスナビのサービスの特徴や、ウェルスナビのメリット・デメリットについて解説していきます。

「ウェルスナビ」の投資対象は「米国株」「日欧株」「新興国株」「米国債券」「金(GOLD)」「不動産」となっています。「米国株」と「日欧株」という独特な分類にマッチした投資信託を取扱っているのは現在のところ「楽天証券」だけです。まず「米国株」に投資する投資信託としては「楽天・全米株式インデックス・ファンド」がズバリと当てはまります。

◆ポートフォリオの一例

「ウェルスナビ」の画面

問題は米国を除く日本と欧州の株式に投資する投資信託ですが、「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」を利用します。このファンドは全世界の株式市場に投資しますが、約半分が米国の株式市場、10%程度が新興国の株式市場に投資されていることを前提に分散比率を計算します。

「楽天・全世界株式インデックス・ファンド」の1万円分は、米国株5000円、新興国株1000円、日欧株4000円で構成されていると考え、このファンドで不足している資産クラスについては別の投資信託を購入します。

具体的な投資信託で言うと、米国株については「楽天・全米株式インデックス・ファンド」、新興国については「インデックスファンド海外新興国(エマージング)株式」を利用して分散比率を調整すればいいでしょう。

「米国債券」については日本を除く先進国の債券に投資する「たわらノーロード先進国債券」、「不動産」については「三井住友・DC外国リートインデックスファンド」、「金(ゴールド)」については「ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり)」を利用すれば問題ありません。

「ウェルスナビ」は頻繁に「リバランス」を行うことはなく、急激なマーケットの動きがない限り半年に1回「リバランス」が行われる程度ですので、たいした手間をかけることなくロボアドの運用を真似ることができそうです。

「マネックスアドバイザー」の場合

「マネックスアドバイザー」はマネックス証券が提供する国内最安手数料のロボアドです。多くのロボアドの手数料は運用資産の1%ですが、「マネックスアドバイザー」の手数料は0.3%。国内に上場するETFに投資する唯一のロボアドです。「マネックスアドバイザー」のことをご存知ないという方は以下の記事で詳細に解説していますので是非ご覧下さい。

ロボット・アドバイザーによる運用額は右肩上がりに増えてきており、2020年には1兆円~5兆円規模になるとも言われています。そして2017年10月25日にスタートしたマネックス証券の新しいロボアドであるマネックスアドバイザーはこの新市場の起爆剤となるかも知れません。

「マネックスアドバイザー」の投資対象は「国内株式」、「先進国株式」、「新興国株式」、「先進国債券」、「先進国社債」、「国内REIT」、「海外REIT」となっていますが、「先進国債券」と「先進国社債」を区別して投資するのではなく、合算して「先進国社債」として運用することでほとんどの金融機関の「iDeCo」で「マネックスアドバイザー」の運用を真似ることができます。

◆ポートフォリオの一例

「マネックスアドバイザー」の画面

ただし、「マネックスアドバイザー」は国内のETFを投資対象としていますので、低コストのインデックスファンドを積極的に「iDeCo」の運用対象にしている金融機関を選ばなければ同じリターンを狙うことができません。

ここでは、多くの資産クラスに対して低コストなインデックスファンドを積極的に揃えている「マネックス証券」の「iDeCo」を例に各資産クラスにマッチする投資信託を選んでいきます。

「国内株式」については信託報酬が0.1674%の「DIAM DC 国内株式インデックスファンド」を選ぶといいいでしょう。「先進国株式」については信託報酬が0.11772%という信じられないくらいの低コストを実現している「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」の利用がおすすめです。

「新興国株式」については信託報酬が0.20412%の「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」、「先進国債券」については信託報酬が0.1836%の「eMAXIS Slim 先進国債券インデックス」、「国内REIT」については信託報酬が0.27%の「DCニッセイJ-REITインデックスファンドA」、「海外REIT」については信託報酬が0.3024%の「三井住友・DC外国リートインデックスファンド」を利用するのがいいでしょう。

「楽ラップ」を参考にする場合

「楽ラップ」は楽天証券が提供するロボアドです。国内の投資信託に投資するロボアドで、ロボアドの中では富裕層向けの「ファンドラップ口座」に最も近いサービスを提供しています。「楽ラップ」のことをご存知ないという方は以下の記事で詳細に解説していますので、是非ご覧下さい。

大手ネット証券で最初にロボットアドバイザーのサービスを提供した楽天証券。東大発のフィンテックベンチャー「Finatext」、世界最大級の資産運用アドバイザリーサービスを提供する「Mercer」、米国最大級の資産運用会社である「SSGA」などとタッグを組んで開発した「楽ラップ」の実力(メリット・デメリット)とは。

「楽ラップ」についてはそもそも運用対象が国内の投資信託ですので、「iDeCo」を利用すれば「楽ラップ」よりもかなり低コストで同じような運用が可能です。楽天証券で口座を開設すれば、毎月の「楽ラップ」の運用レポートを閲覧することが可能ですが、この運用レポートには「楽ラップ」で運用されている投資信託と分散比率が明記されています。

◆ポートフォリオの一例

楽ラップの画面

「楽ラップ」のポートフォリオは「たわらノーロード」シリーズと「ステート・ストリート・インデックス・オープン」シリーズだけで構成されていますので、ほとんどの金融機関で同じような運用を行うことが可能です。

これまでの運用状況を見る限り、頻繁にリバランスを行うような運用はしていませんので、毎月の運用レポートを参考にして比較的簡単に「楽ラップ」と同じような運用が行なえそうです。ただし、運用レポートの内容にはタイムラグがありますので、「楽ラップ」を利用した運用を行いながら、それを参考にして「iDeCo」の運用を行う必要があります。

まとめ

米国では「iDeCo」のような公的年金制度における運用を、ロボアドに任せることができますが、日本ではもう少し先になりそうです。

「iDeCo」の運用でロボアドのような国際分散投資を行うためには、予め特定口座を利用して自分の好みに合ったロボアドで資産運用を行い、そのメリットやデメリットを理解しておくことが重要です。

行動ファイナンスの分野では「人間は投資に向いていない」という結論が出ているようですが、その結論が正しいとすれば、ロボアドの利用は投資で成功するための唯一の手段なのかも知れません。