知識ゼロから3分でわかる!プロが教える「iDeCo」スタートガイド2018年版

シェアする

ビーチの画像

「iDeCo」とは節税しながら老後資金の準備ができる、とても有利な個人年金制度です。今回は、2018年から導入された新しいルールも含め、誰でも3分で「iDeCo」の始め方が分かるように、どこよりも分かりやすく解説してみたいと思います。

iDeCoの目的とメリット・デメリット

まずは「iDeCo」の目的を正しく理解しておきましょう。「iDeCo」を投資制度だと勘違いしている人が多いのですが、「iDeCo」は年金制度です。

例えば「つみたてNISA」は「iDeCo」と同じように長期積立投資に対する非課税制度ですが、損失が発生する可能性を承知の上でリターンを追求する、金融庁が管轄する投資制度です。これに対して「iDeCo」は定期預金のような元本保証の金融商品なども利用しながら、堅実に60歳以降の生活を豊かにするための準備をしていく、厚生労働省が管轄する年金制度です。

「iDeCo」では運用によって発生した利益に対して税金がかからないというメリットがありますが、最大のメリットは毎年発生する所得税と住民税に対する節税効果です。

手っ取り早く理解して頂くために年間の最大節税額を下記の通り、表でまとめてみました。年収や加入している年金制度によって手元に戻ってくる税金の額は異なりますが、毎年2万円~10万円程度の税金が60歳まで手元に戻ってくることがご理解頂けると思います。例えば30歳から「iDeCo」に加入した企業年金制度のない年収500万円のサラリーマンの場合、60歳までの30年間で最大165万円の税金を取り返せることになります。

 会社員(企業年金なし)・専業主婦会社員(企業型確定拠出年金のみ)公務員・会社員(企業年金あり)
月間積立上限額2万3,000円2万円1万2,000円
年収節税額節税額節税額
200万円~500万円未満4万1,000円3万6,000円2万1,600円
500万円~650万円未満5万5,000円4万8,000円2万8,800円
650万円~1100万円未満8万2,000円7万2,000円4万3,200円
1100万円~1300万円未満9万1,000円7万9,200円4万7,520円

「iDeCo」のデメリットは60歳までお金を引き出せないということです。「iDeCo」は年金制度ですから支給は60歳からとなり、一括で全額を受け取ることもできますし、分割して受け取ることも可能です。また、「iDeCo」の利用には手数料が発生します。毎年の節税効果から考えれば僅かなコストですが、手数料が最も低いマネックス証券や楽天証券などの大手ネット証券でも年間2004円、それ以外の金融機関では高いところだと7000円近い手数料を徴収するところもありますので注意が必要です。

2018年からの新ルールとは

これまでの「iDeCo」の積立方式は、毎月の積立額を決め、その金額を毎月1回積み立てていくという方法しかありませんでした。このルールで不便なところはボーナス時などに積立額を増額し、普段の月は少なくするというような積立ができなかったことです。

また、自営業の方などの場合はとりあえず12月までは決算が読めないので12月にまとめて1年分を「iDeCo」に拠出するというような、年単位の積立ニーズもありますが、これにも対応していませんでした。

2018年からの新ルールでは、年1回の積立がOKとなり、事前に決めておけば毎月同じ金額を積立てる必要もなくなりました。まずは年1回の積立ルールについて説明していきますが、「iDeCo」でいう1年とは引き落としベースで1月から12月のことを言い、毎月の積立額は少なくとも5000円以上という決まりがあることを予め覚えておいて下さい。

1年に1回の積立にする場合、6月に積立てることができる金額と、12月に積立てることができる金額の上限が異なることに注意が必要です。「iDeCo」は前払いができない制度ですので、6月に積立てることができるのは1月から6月までの毎月の積立上限額の6倍まで(最低額は5000円×6=3万円)、12月に積立てることができる金額は12倍まで(最低額は5000円×12=6万円)ということになります。

ボーナス月に増額する場合も考え方は同じです。毎月の積立額の上限が2万3000円の人の場合を例に説明すると、普段の月の積立額を1万円とすると6月のボーナス月に積立てることができる上限額は2万3000円×6ヶ月=13万8000円から既に積立てた5ヶ月分の積立額(5万円)を差し引いた8万8000円となります。

「iDeCo」での運用を定期預金中心で考えている人は每年12月にまとめて拠出することで手数料が年間1100円程度安くなるというメリットがあるのですが、それ以外の人については毎月決まった金額をリスク資産に積立てることで、ドルコスト平均法による購入価格の平準化のメリットを享受するのがお勧めです。

「iDeCo」を開始するための手続き

第1号および第3号被保険者

自営業者・フリーター・学生の方は第1号被保険者、専業主婦(夫)の方は第3号被保険者となりますが、このどちらかに該当する方の「iDeCo」加入手続きはとてもシンプルです。

まずは「iDeCo」を取扱っている金融機関のうちから、運用できる金融商品が豊富で、60歳以降の年金受取方法の選択に柔軟性がある、手数料の安い金融機関を選んで取引口座を開設し、コールセンターやウェブページから「iDeCo」への申込みを行って下さい。「iDeCo」を利用する金融機関を選ぶ際には下記の記事を是非、参考にしてみて下さい。

iDeCoの節税効果は分かったけど、どの証券会社でどうやって運用すればいいのかが良く分からない。こんな理由でiDeCoを利用せずに年間何万円も税金を多く支払っているなんてもったいなですよ。この記事はそんなあなたの疑問を解消する大きな手助けになるはずです。

数日後には説明資料や申込関係の書類が自宅に届きます。第1号被保険者の方は「個人年金加入申出書(第1号被保険者用)」、第3号被保険者の方は「個人年金加入申出書(第3号被保険者用)」が申込書類となります。この書類に必要事項を記入し、「口座振替申込書」「個人情報提供に関する同意書」「確認書」「本人確認書類」などと一緒に金融機関に提出すれば手続きは完了です。

第2号被保険者の手続き

会社員・公務員の方は第2号被保険者となりますが、勤務先に記入してもらう書類があるという点で第1号被保険者や第3号被保険者の手続きとは異なります。

勤務先に記入してもらう書類は一般の会社員の方の場合は「事業所登録申請書兼第2号加入者に係る事業主の証明書」ですが、公務員・私立学校教職員の方は「第2号加入者に係る事業主の証明書(共済組合員用)」に記入してもらいます。

勤務先に記入してもらった書類に加えて、一般の会社員の方の場合は「個人年金加入申出書(第2号被保険者用)」、公務員・私立学校教職員の方は「個人年金加入申出書(共済組合員用)」を「個人情報提供に関する同意書」「確認書」「本人確認書類」と一緒に金融機関に提出しますが、給与天引きによる拠出を選択しなかった人の場合は「口座振替申込書」も一緒に提出する必要があります。

また、第2号被保険者に該当する方の場合、毎年6月頃に国民年金基金連合会が勤務先に「iDeCo」の加入資格の有無について照会を行います。ほとんどの場合は会社で対応してくれますが、対応してくれない会社の場合は個人宛に確認の書類が送付されてきますので、注意して下さい。

運用では50代からの「守り」が大切

「iDeCo」の加入手続きが完了すれば、いよいよ自分が積立てる年金の運用方法を具体的に決めていきます。何度も申し上げている通り、「iDeCo」はあくまで年金制度ですから運用については慎重に考えていく必要があります。

あなたが20代、30代なら年率で5%程度のリターンを期待して株式投資信託での運用からスタートし、50歳前後からはタイミングを見ながら安全資産へスイッチングしていきます。60歳になるまでには定期預金を中心とした「負けない運用」へと切り替えることが重要です。

もしあなたが40代なら年率2%程度のリターンが期待できるバランス型の投資信託での運用からスタートし、50歳前後から定期預金へのスイッチングをタイミングを見ながら進めていきましょう。40代後半なら最初から定期預金を中心とした手堅い運用で、主に毎年の節税メリットを狙った運用でもOKです。

運用の基本は、若い間はリターンを狙い、年齢と共に安全資産へとシフトしていくことです。資産運用は「iDeCo」だけで行うのではなく、「つみたてNISA」と組み合わせた運用をお勧めします。「iDeCo」は年金制度ですのであくまで手堅い運用を目指し、「つみたてNISA」では思い切ってハイリターンを狙うというような使い分けが理想です。

「iDeCo」と「つみたてNISA」を組合せた老後資金のつくりかたについては以下の記事でまとめてありますので、是非ご覧下さい。

この記事では「iDeCo」と「つみたてNISA」のメリットやデメリットについて説明し、これらを組み合わせて利用することで計画的に老後資金を積み立てていくための具体的な方法について解説しています。

まとめ

「iDeCo」と「つみたてNISA」を上手に利用するだけでも老後資金として2000万円から3000万円程度の資金を準備することは不可能ではありません。ただし、運用のスタートが遅くなればなるほど、積立額が小さくなるうえ、リスクの小さい運用しかできなくなるため、期待できるリターンも小さくなってしまいます。

ほとんどリスクをとらない運用でも「iDeCo」と「つみたてNISA」を20年間、毎年上限金額の積立を行なえば1300万円程度の資金は積み上がっていくことを考えれば、せっかくの非課税制度ですから全く利用しないというのはもったいないお話です。

特に「iDeCo」では元本保証の定期預金で運用することで、ノーリスクで毎年の節税メリットを享受することもできますので、安定した収入があるなら是非とも利用してもらいたと思います。