所得控除だけじゃない!プロが教えるiDeCoの受取り時に使える節税テクニック

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iDeCoでいくら得をするかを知ろう

iDeCoのお話をする前に、皆さんがiDeCoを利用することで毎年いくらの税金が免除されて手元に残るのかを確認しておきましょう。

下の表は会社員、公務員、専業主婦という分類に加え、会社員の場合は企業年金のある会社とない会社、企業型確定拠出年金のみある会社に分けて記載してあります。節税額はそれぞれのケースで上限額を積立てることを前提に計算してあります。あくまで概算ですので正確な金額を計算する場合は、ご自身の課税所得から所得税に対する税率を求め、住民税の税率とあわせて年間の総積立額から計算してみて下さい。自営業の方は月額6万8000円まで積立てが可能ですので一番左の列の3倍が目安になります。

 会社員(企業年金なし)・専業主婦会社員(企業型確定拠出年金のみ)公務員・会社員(企業年金あり)
月間積立上限額2万3,000円2万円1万2,000円
年収節税額節税額節税額
200万円~500万円未満4万1,000円3万6,000円2万1,600円
500万円~650万円未満5万5,000円4万8,000円2万8,800円
650万円~1100万円未満8万2,000円7万2,000円4万3,200円
1100万円~1300万円未満9万1,000円7万9,200円4万7,520円

表をご覧になって、いかがでしょうか。iDeCoを利用すれば、殆どの方が少なくともご家族でディナーに出かけられる程度の金額を節税できるはずです。この節税額が60歳になるまで毎年続くということだけでもiDeCoを利用するメリットはありそうですよね。でもiDeCoの節税効果はこれだけではありません。まずはiDeCoの節税効果を説明する前にiDeCoの概要を簡単に説明していきます。

公的年金の不足を補うのがiDeCo

現在の日本は高齢化が進み、今では4人に1人が65歳以上という状況です。また、日本人の平均寿命は男性で80.98歳、女性では87.14歳となっており、人生100年時代の突入はそれほど先のことではではなさそうです。ところが日本の公的年金制度はこのような状況を想定してつくられおらず、このままの状況が続けば日本の公的年金制度は近い将来において破綻してしまいます。

政府は年金の支給年齢を引き上げたり、現役世代の負担を僅かずつでも増やすことで年金制度の延命を図っていますが、結局のところは「無い袖は振れないので各自が自己責任で老後資金を準備して下さい。」というのが本音です。

iDeCoはこのような政府の本音を厚生労働省が形にした制度で、「一切税金は取らないから老後の資金は自分で積立てて、自分で運用して増やして下さい。」という国から国民へのストレートなメッセージなのです。

所得控除と利益に対する非課税

◆積立している期間の節税

その年にiDeCoで積立てた資金についてはその年の所得から全額控除できます。つまり、その年にiDeCoで積立てたお金は所得としては無かったものとし、課税所得から差し引いてから、その年の所得税と住民税を計算する訳です。上記の表で見たように所得税は累進課税ですので、年収が高くなれば所得税の税率が高くなり、iDeCoによる節税額も所得に比例して増えていきます。

◆運用で発生した利益に対する節税

さらに、運用で発生した利益に対しても税金がかかりません。本来であれば利益の20%が税金として徴収されてしまうのですが、iDeCoで発生した利益は全額iDeCoの口座に残ります。従って、本来の税金分も再投資することができ、20%の節税額だけでなく複利効果によるリターンの増加も期待できます。

例えば、自分がiDeCoの口座で保有している投資信託のうち、値上がりした投資信託を売って、そのお金で値下がりしている投資信託を買い足すことにより、ポートフォリオのリバランスをしたとしても利益については非課税ですので、資産を税金で減らすことなくそのまま別の投資信託に振り替えることができます。

また、50代になってくるとiDeCoのポートフォリオの中身を見直して、利益の出ている投資信託を利食って定期預金やリスクの小さめな別の投資信託に資金を移していきますが(スイッチング)その際にも税金がかかりません。

iDeCoを受取る際の節税テクニック

60歳を越えてiDeCoで積立ててきた資金を受け取る際にも税金が免除されます。iDeCoの受け取り方には、「一時金として一括で受け取る方法」と、「年金として分割して受け取る方法」、「一部を一時金として受け取り、残りを年金として受け取る方法」の3つがあるのですが、iDeCoの取り扱い金融機関によっっては受け取り方に制限がありますのでお気をつけ下さい。

◆一時金としての退職所得控除

iDeCoを一時金として一括で受け取る場合は退職所得控除の対象となります。例えば30歳からiDeCoの積立てを開始して60歳まで同じ会社で働いた場合、1500万円までは非課税で受け取ることが可能です(他に企業からの退職金がある場合は合計で1500万円まで)。また、退職一時金の総額が1500万円を超えてしまう場合でも、超過した金額の半分は課税を免除されます。

◆年金としての公的年金等控除

iDeCoを年金として受け取る場合は公的年金等控除の対象となり、他の年金と合算して60歳から64歳までが年間70万円まで、65歳以降は年間120万円までは非課税となります。ただし、厚生年金などの他の年金だけで非課税枠を既に使ってしまう人の場合は一時金として受け取る方がお得です。

◆一時金をズラして受け取る

企業から支払われる退職金だけで退職所得控除を使い切ってしまうような場合、iDeCoを一時金で受け取るタイミングを企業からの退職金が支払われる年とズラして受け取ることで、少しお得にiDeCoの一時金を受け取れる可能性があります。所得税は累進課税ですので2回に分けて課税された方がどちらとも低い所得税率で税金が計算される可能性が高いからです。

◆60歳から64歳の空白期間に受給

公的年金の支給開始年齢と定年退職する年齢に空白期間がある場合、iDeCoを60歳から64歳まで毎年70万円ずつ受け取るようにすれば240万円を非課税で受け取ることができます。今後公的年金の受取開始年齢が70歳まで引き上がられることも予想されます。年金の空白期間にiDeCoを受け取ることで生活費を受け取りながら一時金として受け取る際の税金を減らしていくということも考えてみてはいかがでしょう。

このようにiDeCoの受け取りは、退職時のご自身の状況によって柔軟に対応することで税金を安くすることができます。

ノーリスクで節税効果だけを受ける

「いくら税金が安くなっても投資して損をしたら無意味だからiDeCoはやらない。」という方は、iDeCoでの運用対象を投資信託ではなく元本保証の定期預金にするという方法があります。毎年の積立金に対する所得控除だけでもかなりの金額を節税できる上、元本が減るリスクもありません。いつか投資したくなればその時に定期預金から投資信託にスイッチングすればいいだけですから、とりあえず節税効果だけでも享受しておいてはいかがでしょう。

iDeCoで定期預金をすれば60歳まで引き出せませんが、例えば毎月2万3000円を積立てたとして年間27万6000円の積立金に対して4万1000円の利息がつくようなものです。無理のない範囲で積立てていけば決して損をすることないでしょう。

iDeCoのデメリットも理解する

以上のようにiDeCoは最強の節税制度ですが、いくつかのデメリットもあります。まず60歳までは受け取れないという流動性の悪さがあります。いざという時のお金までiDeCoで積立ててしまうのは危険ですので余裕のある範囲で積立てていきましょう。

次に気をつけることは、最低でも年間2004円の費用がかかることです。iDeCoは年金制度ですの事務コストが発生し、それは個人が負担することになっています。金融機関によっては独自の手数料を上乗せするところもありますので、金融機関選びには注意が必要です。

iDeCoを利用するための証券会社選びでは手数料だけではなく、60歳以降の受取方法に制限がない証券会社を選ぶことが重要です。手数料が最安で品揃えが豊富なだけでなく、受取方法に柔軟性があることを条件に証券会社を選ぶならマネックス証券か楽天証券がおすすめです。iDeCoで利用すべき証券会社選びの詳細につきましては以下の記事にまとめてありますので是非ご覧下さい。

iDeCoの節税効果は分かったけど、どの証券会社でどうやって運用すればいいのかが良く分からない。こんな理由でiDeCoを利用せずに年間何万円も税金を多く支払っているなんてもったいなですよ。この記事はそんなあなたの疑問を解消する大きな手助けになるはずです。

また、所得が不安定な方や専業主婦(夫)の方の場合、節税効果を十分に享受できない場合もありますので、最低でも年収200万円以上を維持できる状態になるまではiDeCoの利用は見送って、来年からスタートする「つみたてNISA」の利用を検討する方がいいでしょう。詳しくは以下の記事をご覧下さい。

2017年からiDeCo(イデコ)を利用できる人の範囲が拡大され、専業主婦やパートで働く主婦も利用できるようになりました。世間ではiDeCoのメリットばかりが強調されているようですが、果たして本当にそうなのでしょうか?