投資で大切なリスク許容度を決定する要因は年齢だけではなかった

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「若い人はリスク資産を多目に保有すべき」というのは一般論として間違いではありませんが、年齢だけでリスク資産の保有割合を決めてしまうのは危険です。保有資産の中には自分自身の資産価値が含まれれいることを認識し、自分の資産価値を客観的に分析する必要があります。

自分が資産であることを認識する

そもそも「資産」とは「将来において新たな価値を生み出すもの」と定義することができます。給料をタンスの中にしまっていた場合は新たな価値を生み出すことはありませんが、銀行の定期預金に入れておけばわずかながらに新たな価値が「利息」という形で生み出されることになります。

このように「定期預金」は資産と考えることができ、元本割れのリスクが小さく、将来期待できるリターンを現時点で計算することができるという点では「安定資産」に分類されます。

自分自身も自分が保有する資産の一部であると考えている人は少ないかも知れません。しかしながら、「資産」の定義が「将来において新たな価値を生み出すもの」であるなら、働いてお金を稼ぐ能力がある人間は全て「資産」であると定義できます。

全く働いていなくても年金を受取る資格を有しており、現実に年金をもらっている人は生きている限り年金という新たしい価値を受け取ることができますので、このような場合も「資産」と考えていいでしょう。

自分の資産価値を決める要因

資産価値はあくまで「将来にわたってどれくらいの新たな価値を生み出すか」を金額ベースで見積もることにより決定されるものであり、自分の「資産価値」と「人間としての価値」とは全く関係がないということを最初に申し上げておきます。

将来新たな価値を生み出さなくても、存在しているだけで価値のある人間はいくらでもいるのですが、これからお話していく「自分の資産価値」については経済学上の尺度のみで考えていきます。

公務員や一流企業に務める会社員の場合、ある程度の精度で生涯年収を計算することができるかも知れません。60歳を超えて会社を定年退職した人も受け取ることができる公的年金額についてはある程度予測できると思います。

このように、将来新たに獲得できる価値がある程度予測できる資産は「安全資産」に分類されます。20代の公務員と65歳の年金生活者は共に「安全資産」に分類されますが、資産価値としては20代の公務員の方が金額ベースでの価値は高いともの考えられます。

同じ20代でも公務員と個人事業主とでは、資産の種類が異なります。個人事業主は将来獲得できる新たな価値を現時点で計算することが難しく、事業が順調に成長すれば大きな価値を生み出しますが、事業に失敗すれば十分な価値を生み出すことができません。このように将来生み出す価値が予想できない人的な資産は「リスク資産」に分類されます。

銀行のローン担当者の態度を見れば明らかですが、公務員や一流企業の社員に対しては積極的にお金を貸そうとしますが、開業したばかりの自営業者やフリーランスへの貸出には消極的です。彼らは公務員を「安全資産」、フリーランスを「リスク資産」と見なして貸付の可否を判断しています。

ご自身が安全資産の場合の資産運用

ご自身の状況を客観的に判断して「安全資産」に分類される場合、資産運用におけるポートフォリオではリスク資産の割合を多することでリターンを狙うのがお勧めです。自分が安全資産であるということは、運用するポートフォリオにおける「債券」や「定期預金」と自分は同じ分類の資産だと考えておく必要があります。

年齢的に若い場合、自分自身の安全資産としての資産価値は高いので、保有するポートフォリオにしめる安全資産の割合は非常に高い状態にあります。従って、保有すべき金融資産は世界の株式市場を中心にしたリスク資産に分散投資を行うことでポートフォリオにおけるリスク資産の割合を増やしていくようにしていきましょう。

同じ安全資産でも、高齢の方の場合は、人的な資産価値の絶対額は若年者よりも低いケースが多いので、金融資産におけるリスク資産の割合を低くして安全資産の保有割合を増やしておくことが必要です。

このようにご自身が安全資産の場合、年齢と共にリスク資産の割合を引下げていくことで、ポートフォリオをリバランスし、常に最適なポートフォリオを維持していくように心がけましょう。

ご自身がリスク資産の場合の資産運用

個人事業主、モデルやタレント、芸術家、スポーツ選手などといった職業の場合、将来新たに生み出す価値を現時点で計算することは困難であり、人的資産の分類としては「リスク資産」に該当します。リスク資産は大きく稼げる可能性もありますが、あまり稼げない可能性もあり、金融資産では株式資産と同じでハイリスク・ハイリターンな資産であると言えます。

ご自身がリスク資産である場合、資産運用における金融ポートフォリオではリスク資産の割合を低くしておく必要があります。ご自身のビジネスが成長して少しずつ安定していくと、ご自身の資産の種類も「安全資産」に近づいてきます。このような状況になれば金融資産におけるリスク資産の占める割合を増やしていくことで資産全体のポートフォリオをリバランスしていきましょう。

ご自身の資産価値が低い場合の対応

高齢者の資産価値が低いのは既に価値を生み出した後だからという理由であり、人的な資産価値が減少した分だけ金融資産が増加しているはずですので問題はありません。

若年層であるにもかかわらず、ご自身の資産価値が低い人の場合、投資に回せる金融資産を確保するのにも一苦労だと思います。このようなケースでは保有する全ての金融資産を自分という最も貴重な資産に投資するのが一番です。

株式投資によって、わずかな元手を数倍に増やすことで得られるリターンよりも、将来の収入を増やすためにやれることを考え、時間とお金を自分自身に投資する方が長期的には大きなリターンを手にすることができます。

まとめ

自分自身も自分が保有する資産の一部であるという考え方は、資産運用において非常に有効です。

ご自身が「安全資産」に近い存在なのか「リスク資産」に近い存在なのかを考えるだけでなく、結婚しいる場合は配偶者の人的な資産についても考えてポートフォリオを組み立てましょう。

自分自身が現在はリスク資産であったとしても、将来的に安定的なリターンが出始めた場合は安全資産に近づいているという認識を持たなければなりません。つまり、人的資産の性格は固定的ではないということを理解した上で、常に自分の資産価値とその性格について正しく把握しておくことが重要です。