比較可能な共通KPIでわかった投資信託で失敗する人の特徴とは

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KPIグラフ

「投資信託の販売会社における比較可能な共通 KPI」が国内全ての金融機関で公表されるようになりました。この記事では公表された共通KPIから見えてくる、投資信託で失敗する代表的なパターンを解説し、投資信託を利用して資産を増やすための基本ルールをご紹介しています。

投資信託を利用するメリット

投資信託は個人が長期間に渡って金融資産を運用するのに最も適した金融商品のひとつであり、金融庁が個人金融資産の形成をサポートするためにスタートした「つみたてNISA」の制度においても、投資信託(3本のETF含む)のみが運用対象になっています。

個人の資産運用において投資信託を利用するメリットはたくさんありますが、とりあえずは以下の3つのメリットを知っておくことで投資信託の正しい利用法がご理解頂けると思います。

少額でも分散投資が可能

初めての資産運用で成功するためには「長期」「分散」「積立」という3つのポイントをおさえておくことが重要です。

投資信託の運用会社は投資家から集めた資金を少なくとも数十銘柄、多いものだと数千銘柄にも及ぶ複数の投資先に分散して投資しています。

大手ネット専業証券会社を利用すれば、投資信託は100円からでも購入可能ですので、投資信託を利用することで誰でも少額から国際分散投資を行うことができます。

運用をある程度まで自動化できる

投資信託の運用会社は予め決められた方針に従って資産を運用しており、投資信託を購入した投資家が日々の運用に関する意思決定を行う必要はありません。

また、大手ネット専業証券会社では投資信託の自動積立サービスが提供されていますので、投資家は投資信託を選んで自動積立の設定を行うだけで資産運用のかなりの部分を自動化することが可能です。

運用コストが低下傾向にある

投資信託の運用コストは規模のメリットが発揮されやすく、純資産額が安定的に増えている投資信託の中には運用コストを引き下げる動きが目立ち始めています。

特に日経平均やNYダウなどのような指数に連動するタイプの投資信託(インデックスファンド)の信託報酬はここ数年で大きく引き下げられており、次々に低コストのファンドが新設されています。

購入手数料についても年々引き下げられており、例えば「つみたてNISA」の対象となっている投資信託は全て手数料無料で購入することができます。

失敗する人に共通する特徴

投資信託を利用して資産を大きく増やしている方がいらっしゃる一方で、同じように投資信託を利用していても思っていたような運用成果に至らない方もいらっしゃいます。

同じ金融商品に投資しているのに運用成果に違いが発生するのにはいくつかの理由がありますが、今回は共通KPIから見えてくる典型的な失敗例について解説していきます。

営業マンが勧める投資信託を買う

証券会社や銀行の営業マンが推奨する投資信託は金融機関の利益を優先し、投資家の利益は後回しになっているケースも多く、「おすすめの投資信託=良い投資信託」という訳では決してありません。

金利が少し高めの定期預金と抱き合わせで販売される投資信託、新興国の債券に投資する高利回りを謳った外貨建て投資信託、毎月分配金が受け取れるタイプの投資信託など、金融機関の営業マンが勧める投資信託は高コスト、高リスクなものが多いのが現実です。

金融庁の求めにより各金融機関は2018年3月末時点において投資信託を保有する顧客の損益状況やリスク・リターン、コスト・リターンの状況を「投資信託の販売会社における比較可能な共通 KPI」として公表しています。

各金融機関が公表している共通KPIは以下の3つですが、ホームページのトップ画面からリンクを貼って共通KPIを公表しているところは稀であり、KPIの状況がパッとしない金融機関ほどHPでは目立たない深い階層に隠していたり、中にはHPとは異なるドメインで公表していたりするところもあります。

① 投資信託の運用損益別顧客比率
② 投資信託の預り資産残高上位銘柄のコスト・リターン
③ 投資信託の預り資産残高上位銘柄のリスク・リターン

「株式会社みずほフィナンシャルグループ」が公表している共通KPIによりますと、「みずほ銀行」で投資信託を購入して保有している人の46%が含み損を抱えているのに対し、「コモンズ投信株式会社」が公表している共通KPIでは97.7%の顧客が含み益を確保しており、営業姿勢の差が明確に表れています。

みずほ銀行のKPIグラフ

コモンズ投信のKPIグラフ

ちなみに「みずほ銀行」の顧客が保有している投資信託の上位5本は全て毎月分配金が受け取れるタイプの投資信託ですが、金融庁では長期的な金融資産の形成には適さないとして毎月分配金が受け取れるタイプの投資信託を「つみたてNISA」の対象から除外しています。

◆みずほ銀行の顧客が保有している投資信託上位5本

みずほ銀行の投資信託

このように金融機関の営業担当者が熱心に勧める投資信託の中にはリスクとコストとリターンのバランスが悪いものが多いので注意が必要です。

<参考>マネックス証券の顧客が保有している投資信託上位5本

マネックス証券

投資信託を一度に集中して購入する

「投資信託はプロが運用しているのでどんなタイミングで購入しても大丈夫」だとお考えの方もいらっしゃいますが、その考えは必ずしも正しいとは言い切れません。

投資信託の運用会社は投資家が投資信託を購入したタイミングで運用対象である株式や債券を購入します。

従って、同じ投資信託でも運用対象の株式や債券などが安いタイミングで購入した場合(例えばリーマンショック直後など)と、高いタイミングで購入した場合(バブル期など)では運用成績が大きく異なります。

一度に集中して投資信託を買うことは大きなリスクが伴いますので、特に初心者の方は可能な限り購入のタイミングを分散することを考え、可能な限り積立投資を行うことをオススメします。

コモンズ投信の顧客のうち97.7%が含み益を確保できているのは、コモンズ投信が他の投資信託と比較して極めて高いリターンを出しているからと言うよりも、むしろ顧客の79%が積立投資を行っていることが最大の要因だと言えるでしょう。

投資信託を頻繁に乗り換える

優れた投資信託は主に長期投資を前提に設計されており、わずかな基準価格の変動を理由に売買するような行為を想定して運用されていません。

どのような投資信託でも運用成績には好不調の波があり、あらゆる相場環境において常に値上がりが続くようなことはありません。

例えば、2008年の設定以来411.5%のリターンを実現し、今では国内No.1の人気となっている「ひふみ投信」でさえ、直近6か月間のリターンはマイナス0.4%となっています(2018年8月度の運用レポートより)。

ひふみ投信のリターン

「ひふみ投信」は2015年にも成績不振の時期がありましたが、その時に売却してしまった人は結果的には2016年以降の大きなリターンを取り逃しています。

ひふみ投信の基準価格推移

目先の値動きに一喜一憂して頻繁に投資信託を乗り換えてしまうと売却時の利益に対する課税によって運用資金は目減りしてしまい、投資信託のメリットである「長期運用による複利効果(発生した利益が新たな利益を生む効果)」が失われてしまうことになります。

大手ネット専業証券である「楽天証券」「マネックス証券」「SBI証券」が公表している「投資信託の販売会社における比較可能な共通 KPI」によりますと、投資信託を保有している顧客の6割以上が含み益を確保していることが分かります。

ただし、含み益として30%以上を確保できている顧客は全体の10%前後となっており、コモンズ投信の46%と比較するとかなり少ないことが分かります。

マネックス証券のKPIグラフ

ネット証券の利用者はネットで簡単に投資信託の含み益を確認することができる上、簡単に解約することが可能なため、利益を十分に伸ばす前に小さな利益を獲得している可能性があります。

投資信託で成功するための基本ルール

投資信託の中身を十分に理解しないまま、金融機関の窓口で営業担当者の勧める投資信託を購入することは非常に危険です。できる限り大手ネット専業証券を利用し、低コストで優良な投資信託を購入するようにしましょう。

ネット証券を利用すれば営業マンから投資信託を勧められることはありませんが、小さな利益を積み重ねるような取引にならないように注意する必要があります。

コモンズ投信の顧客が大きなリターンを積み上げていることからも分かる通り、基準価格の上げ下げに一喜一憂することなく、長期的に右肩上がりで推移している世界経済の成長に対して積立投資をすることが金融資産を増やすための最も確実な方法です。

初心者の方は税制優遇のある「つみたてNISA」を利用して世界中に分散投資できる投資信託を積み立てることからスタートすることをオススメします。