投資信託を窓口で購入する人は「売れている」投資信託を避けた方がいい理由

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銀行や証券会社の窓口で投資信託を買う時には、「売れている」「人気のある」「オススメの」投資信託は避けるべきです。今回は投資信託を窓口で購入する際に気をつけるべきポイントと、購入する投資信託が満たすべき最低限の条件について解説していきます。

アクディブ運用よりインデックス運用

金融庁が国民のために考えた、長期積立投資を利用した非課税制度である「つみたてNISA」が来年からスタートします。「つみたてNISA」をひと言で説明すると、年間最大40万円の資金を積立てていくことができ、積立てによって発生した利益には20年間に渡って税金がかからないという制度です。

ただし、積立てることができるのは金融庁が設定したハードルをクリアした金融商品に限定されており、定期預金や国債などといった元本保証タイプの金融商品は積立ての対象にはなっていません。金融庁は国民が少額の資金をコツコツと積立てていくことで大きな金融資産を形成するための条件を考えた結果、リターンのほとんど期待できない元本保証タイプの金融商品や手数料が割高で金融機関だけしか儲からないような投資信託を運用対象から除外しています。

その結果、2017年12月18日時点において、金融庁の選んだ投資信託は5000本前後ある投資信託のうち132本のみとなっており、その内訳を見るとアクティブ運用の投資信託が15本、インデックス運用の投資信託が117本となっており、そのほとんどがインデックスファンドで占められています。

ここで簡単にアクティブ運用とインデックス運用の違いについて説明しておきます。アクティブ運用の投資信託では特定の投資戦略に基いた機動的な運用を行うことで、市場平均を上回るリターンを目指します。戦略が当たれば市場平均を大きく上回るリターンが実現する場合もありますが、1割程度は5年以内に運用に失敗して繰上償還され、存続できたアクディブ運用の投資信託のうち市場平均を上回るリターンを出すのは2割から3割程度です。

インデックス運用はパッシブ運用とも言われ、東京の株式市場であれば「日経225」「TOPIX」などといった、市場全体の動きを表す指数と連動する運用を目指します。インデックス運用は市場全体の動きを反映するだけのシンプルな運用であり、市場全体の動きを上回るパフォーマンスを目指すことがないため運用にかかるコストがアクディブ運用の投資信託と比べて低くなります。

アクディブ運用がインデックス運用に勝てない最大の原因は運用手数料の高さであり、投資信託を選ぶ際には信託報酬が低いインデックスファンドを選択するということが最も合理的な判断だと言えます。

「売れている」投資信託の正体とは

普通の買物であれば「今、売れてます!」だったり、「人気No.1」という商品を選ぶことは、多くの消費者から支持されている商品を選ぶ訳ですから、選択の基準として決して間違っているとは言えません。それは、一般的な商品は比較的短期間の使用によってその商品の価値を判断できるため、実際の購入者によるレビューにある程度の信憑性があるからです。

投資信託の場合、「売れている」商品が良い商品である確率は一般的な商品と比べて極端に低いという現実があります。ご存知の通り、今は個人投資家による株式売買の9割以上がネット取引経由で行われており、高い手数料を支払ってまで証券会社の窓口や営業マン経由で株を売買する個人投資家はほとんどいなくなりました。

ところが、投資信託の売買は恐らく8割前後が未だに銀行や証券会社の窓口、あるいは営業マン経由となっており、個人投資家が自身の判断で投資信託を買うのではなく、金融機関のオススメ商品が売りつけられているというのが現実です。従って、「売れている」投資信託とは「売り付けられている」投資信託であり、どちらかと言えば購入者よりも販売者にメリットがある投資信託が売られていると考えておいた方がいいでしょう。

既に説明したようにアクディブ運用の投資信託は市場平均を上回るリターンを目指すため、運用者が頻繁に売買を行ったり、市場調査を入念に行ったりする必要があり、運用がどうしても複雑になるため投資信託の運用コストである「信託報酬」が高くなってしまいます。

信託報酬とは投資信託を保有する人から毎年徴収する手数料のことで、例えば、信託報酬が2%の投資信託を100万円分保有している人は1年に2万円の手数料を毎年支払うことになります(実際には信託資産から自動的に支払われるためこのコストに気がつかない人が多い)。

信託報酬は投資信託を運用する運用会社の収益であると同時に販売する金融機関にとっても毎年入ってくる大きな収益源です。信託報酬の半分弱を運用会社が受取り、販売会社が半分弱を受取り、残りのほんの少しを信託銀行が受け取るイメージです。従って、銀行や証券会社はできるだけ信託報酬や販売手数料の高い投資信託を選んで売る訳ですから、「売れている」投資信託が購入者にとって良い投資信託だとは必ずしも言えないのです。

金融機関が売りたくないものを選ぶ

金融機関にとって最も販売するメリットがある投資信託とは販売手数料が高く、信託報酬が高く、できるだけ短期間に結果が出て、次の投資信託へ乗り換えられる投資信託です。日本の投資信託市場において販売金額の上位を占めるのは、そのほとんどがアクティブ運用の投資信託になっているのはそのせいです。

逆に金融機関が売りたくない投資信託とは販売手数料がゼロで、信託報酬が低い投資信託です。金融庁が「つみたてNISA」で選んだ132本の投資信託は全て販売手数料がゼロで信託報酬も低目に設定されていますが、別の言い方をすると現在5000本程度ある投資信託のうち、わずか132本しかまともな投資信託がないとも言えます。

132本の投資信託から信託報酬が高い15本のアクディブ運用の投資信託を除くと、117本のインデックス運用の投資信託が残ります。インデックス運用の投資信託では原則的にリターンの差はほとんどありませんので、信託報酬が低い投資信託を選ぶのが正解ですが、信託報酬以外の見えないコストが発生する投資信託もありますので、注意が必要です。

見えないコストが発生しやすいのは新興市場に連動する投資信託で、株式の売買手数料や保管料が先進国と比べて割高であり、運用資産が少ない投資信託の場合は大きな負担になる場合があります。また、運用資産が少ない投資信託は運用が中止されてしまうリスク(繰上償還リスク)があることも忘れてはいけません。このように、投資信託を選ぶ際には信託報酬だけではなく純資産額にも注意しておく必要があります。

投資信託が満たすべき最低限の基準

投資信託を購入する際には以下の基準を満たしているかどうかを確認して下さい。

  • インデックスファンド
  • 販売手数料がゼロ
  • 信託報酬が0.3%以下
  • 償還まで20年以上

上記の基準を満たした上で、できれば「純資産額が30億円以上」で「運用期間が5年以上」という基準を満たしていれば更に安心です。上記の基準を満たす投資信託は銀行や証券会社にとっては販売するメリットがあまりないため、窓口で販売されないケースが予想されます。可能であれば、今後投資信託はネット証券を利用して購入し、できるだけ金融機関の窓口には近づかないことを強くオススメします。

また、今回はアクディブ運用の投資信託を選択から外していますが、十分な余裕資金をお持ちなら、信託報酬が1%程度で運用者の顔が見えるような投資信託であれば、購入を検討してもいいでしょう。

ただし、過去の運用実績におけるリターンはあまり参考になりませんので、あくまでも運用方針や運用者に共感できるかできないかを判断基準として選ぶようにして下さい。勝率の高い選択とは言えませんが、上手く行けば「当たり」の2割を引き当てることができるかも知れません。