手数料ゼロのロボアド、投信工房(松井証券)の予想を上回る実力

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利用料が無料のロボアドサービスは役に立たないものがほとんどですが、松井証券の「投信工房」だけは私の周りでも利用している人が意外に多いこと驚いています。そこでこの記事では松井証券の無料ロボアドである「投信工房」のサービスをチェックしていきます。

投資信託が扱えなかった松井の暗い過去

松井証券といえばネット証券でも大手の部類に入りますが、意外にも1998年から2016年11月27日までの約18年もの期間、投資信託を取り扱っていませんでした。1998年、松井証券はそれまで2%~3%が当たり前だった投資信託の販売手数料を1%に引き下げると発表したところ、全ての運用会社から松井証券への投資信託の供給がストップしてしまったのです。

当時の運用会社にとって、全ての販売会社が同じ手数料で販売するという暗黙のルールを単独で抜け駆けしようとする松井証券の存在は迷惑極まりなかったことだと思いますが、供給をストップしてしまうあたりは今から考えると証券業界の村社会ぶりに驚きを隠せません。

金融庁の意向で投信の環境は激変

松井証券が投資信託を扱えなくなってから18年の間に投資信託を取り巻く環境は大きく変化しました。変化の一番の原因は金融庁が推し進めている顧客本位の業務運営である「フィデューシャリー・デューティー」の徹底により、投資信託の回転売買などといった消費者を軽視した営業行為がやり難くなっているという業界環境の変化です。

米国では間接保有分も含めると個人金融資産の45%が投資信託・株式への投資に振り分けられているのに対し、日本では18.8%しか投資に振り分けられておらず、52%が現金・預金となっています。金融庁は日本がこのような状況になっているのは金融機関が顧客本位の業務運営をしてこなかったことが最大の原因の一つであると考えています。

来年からスタートする「つみたてNISA」で利用できる投資信託を、信託報酬が低く、販売手数料がゼロの投資信託だけにしたのも金融庁の基本的なスタンスを証券業界に強く示す狙いがあったものだと思われます。

以上のような経緯もあり、現在では大半のインデックスファンドは販売手数料がゼロ、信託報酬も0.5%以下となっており、1998年に松井証券がやろうとしていた低コストの投資信託の販売は現実のものとなっています。

投信は株と違ってアドバイスが必要

株式の取引ではネット証券による手数料の引き下げによって、個人投資家の取引は非常に活発になりました。同じように投資信託のコストも2015年くらいから急激に下がってきましたが、個人投資家による投資信託の保有金額が劇的に増加している状況にはなっていません。

株式は値動きを予想するゲームのような側面があり、取引そのものを楽しむことができますが、投資信託は純粋な投資であり、売り買いを楽しむものではありません。

これまでは金融機関が売りたい投資信託を個人投資家に売ってきましたが、今後は個人投資家が自主的に投資信託を買えるような環境が必要であり、そのための手段として松井証券が提供を開始したのが「投信工房」という提案型ロボアドです。

松井ならではのユニークなサービス

徹底した低コスト

「投信工房」では8つの質問に答えるだけでリスク許容度を判定し、松井証券が厳選した90本のインデックスファンドの中から目的に合った投資信託を選び出し、ポートフォリオを作成してくれます。90本全てのファンドが販売手数料無料で信託報酬の低いインデックスファンドとなっているためポートフォリオのコストは全体で0.4%程度に収まります。

「投信工房」によるポートフォリオの一例と10年後の収益シミュレーション

資産クラス銘柄名比率リターンリスク信託報酬(%)
国内株式<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンド14518.90.1944
先進国株式たわらノーロード 先進国株式198.420.90.243
新興国株式三井住友・DC新興国株式インデックスファンド91026.70.6048
国内債券三井住友・日本債券インデックス・ファンド81.81.80.1728
先進国債券SMT グローバル債券インデックス・オープン(為替ヘッジあり)3023.70.54
新興国債券eMAXIS 新興国債券インデックス(為替ヘッジあり)53.78.70.648
国内リートたわらノーロード 国内リート56.621.30.324
海外リートたわらノーロード 先進国リート57.523.10.378
コモディティi-mizuhoゴールドインデックス53.520.50.682
合計1005110.4053

シミュレーション結果

「投信工房」は他の投資一任契約タイプのロボアドと違い、あくまで提案型のロボアドですので提案されたポートフォリオを注文するためには投資家が「ひと手間」かける必要があります。この「ひと手間」をかけることによって他のロボアドで必要となる年間1%のコストがゼロになるというのが「投信工房」の最大のメリットのひとつです。

ロボアドがポートフォリオを構築する際のベースとなるのは「平均分散アプローチ」という王道の理論であり、アセットアロケーションについてはロボアドごとに大きな差は生まれないというのが松井証券の考え方です。

従って、最終的に運用実績の差は手数料の大きさであり、「投信工房」は投資家に「ひと手間を」かけてもらうことで他のロボアドとの運用実績における優位性を作り出そうとしている訳です。

リバランス積立で節税効果

「投信工房」の積立ては「毎月」「毎週」「毎日」というサイクルから選ぶことができ、最低100円から自動積立が可能です。さらに積立ての際には本来のポートフォリオの分散比率が崩れないように値上がりしたものは増やさずに、値下がりしたものは買い増すことで積立ての度にリバランスしていく機能を持っています(リバランス積立)。

通常のロボアドは定期的にリバランスをする際には値上がりしたものを売って、値下がりしたものを買うのですが、それでは値上がりしたものを売った時に発生する利益に課税されてしまいます。それに対して「投信工房」では積立する際にリバランスをしていきますので節税効果が発揮されます。

毎日100円ずつ積立てたとしても1ヶ月が20営業日だとすると2000円、毎日500円でも1ヶ月で1万円の積立ですので他のロボアドよりもきめ細かなドルコスト平均法による投資効果が発揮できるのも魅力です。

弱点は銀行からの振込の手間

「投信工房」の弱点は手間がかかることです。ウェルスナビのように銀行から自動で引き落として積立ができるわけではなく、ある程度の資金を定期的に自分で松井証券に振り込む必要があります(松井証券の口座にある資金から自動的に積立が行われる仕組みです)。

ウェルスナビの手数料は1%ですが、運用対象は米国のETFですので「投信工房」が投資する国内の投資信託に比べると信託報酬は半分程度に収まります。従って、ウェルスナビと「投信工房」の実質的な手数料の差は0.7%前後となり、この差を手間賃だと割り切って考えるか、0.7%は大きいと考えるかが選択のポイントになりそうです。ウェルスナビについての詳しい情報は以下の記事にまとめてありますのでご興味のある方は是非お読み下さい。

数あるロボアドのサービスの中で、ウェルスナビは預かり資産、利用者数においてNo.1のトップブランドであることは間違いありません。今回はウェルスナビのサービスの特徴や、ウェルスナビのメリット・デメリットについて解説していきます。

標準的な燃費の自動運転の自動車に乗るか、燃費の良い自動車をカーナビを頼りに自分で運転するかの違いですから、運転に対する自信の有無でどちらかを選択することになりそうです。投資の初心者ならウェルスナビ、中級者以上であればNISAも利用できる「投信工房」の利用は選択肢の一つになるかも知れません。

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