つみたてNISAのデメリットを知れば分かる出口戦略の重要性とは

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来年1月からスタートする「つみたてNISA」は年間40万円までの積立投資について20年間の非課税期間を設けてくれる制度です。長期積立投資を実践するには非常に優れた制度ですが、メリットばかりではありません。今回は「つみたてNISA」のデメリットとそれをカバーするための出口戦略について解説していきます。

つみたてNISAのデメリットとは

長期積立投資に最適な非課税制度である「つみたてNISA」ですが、いくつかの注意点や弱点があることも理解しておく必要があります。

金融機関の選択に注意する

「つみたてNISA」では長期積立投資に適した最大117本(2017年11月8日時点)の投資信託の中から好きな投資信託を選ぶことができるのですが、現実には117本の全ての投資信託を取扱っている金融機関はなく、金融機関によって投資できる投資信託の数や種類は異なります。

「つみたてNISA」の口座を持てるのは一つの金融機関のみであり、金融機関の変更手続きには時間も手間もかかります。20年間という長いお付き合いとなる金融機関を選ぶ際には、なるべく取り扱い商品が多く、今後新たに採用される金融商品に対しても積極的に取り入れてくれる姿勢を持った金融機関を選ぶようにしましょう。

マネックス証券や楽天証券などといった大手ネット証券は取り扱い商品も豊富で低コストの投資信託を積極的に取扱っているのでオススメです。

原則としてスイッチングができない

「つみたてNISA」の年間上限買付額は40万円です。従って、20年積立をした場合の最大積立元本は800万円ということになるのですが、値上がりした投資信託を途中で売却した場合、売却によって手にした資金で別の投資信託をタイミングを見計らって「つみたてNISA」の口座で再投資するというようなことができない場合があります。

例えば、年間40万円の積立を10年間続けた時点で積立元本は400万円になりますが、投資信託が値上がりしていたので半分の200万円分だけを売却した場合、利益分を手元に残して積立元本である200万円を「つみたてNISA」の口座でタイミング良く再投資したいと考えても、年間に積立てられるのは40万円までなので200万円を再投資するまでには5年という時間が必要となります。

非課税で利益確定できることは「つみたてNISA」のメリットですので、スイッチングできなくても問題はないのですが、頻繁に利益確定しているといつまでたっても資産が積立てられません。5年以内に売却するような投資手法を採用するなら年間120万円の枠が利用できる一般NISAを利用する方がメリットが多いでしょう。

損益通算や損失繰越ができない

「つみたてNISA」では利益に対して税金がかからないという表現をすることが多いのですが、正確に表現すると「利益も損失も無かったことにしてしまう」という制度です。利益が発生してもそのような利益は無かったものとみなしますので税金はかかりません。同様に損失が発生したとしてもそのような損失は無かったものとみなしますので他の口座で発生した利益と相殺(損益通算)することもできませんし、確定申告によって損失を繰り延べることもできません。

20年後に買値をリセットされる恐怖

「つみたてNISA」の非課税期間は購入から20年間です。例えば1万円で買った投資信託が20年後に5000円まで値下がりしていた場合、非課税期間が終了するのは仕方のないことですが、非課税期間が終了すると同時に終了時の価格である5000円に買値が変更されてしまいます。

将来、この投資信託が1万円まで値上がりした場合、本来であれば利益はゼロなのですが、5000円で買ったことにされてしまったことで5000円の利益があるという状況になってしまい、売却した場合には1000円の税金が徴収されることになります。

「つみたてNISA」に必要な出口戦略

20年後にやってくる買値のリセットは長期積立投資の最大の武器である「ドルコスト平均法」による買付単価の平準化メリットをゼロにしてしまいます。従って、「つみたてNISA」における出口戦略の目的は、20年後にやってくるリセットの前に、いかにして長期積立投資を終了させるかということになります。

日経平均株価が2000年のTIバブルで2万円を超える高値を付けた後、再び2万円を超えたのは2015年でした。TIバブルのピークで設定された野村證券の1兆円ファンドが募集価格の1万円に戻るまでには17年の歳月が必要でした。このように、過去の株式市場の動きを見る限り、「つみたてNISA」で設定されている最長積立期間が20年であることは理にかなっており、20年間という期間があればどのような相場から積立をスタートしても必ず利食いのチャンスはありそうです。

だからと言ってあまり短期間の積立で利益を確定してしまうと積立投資のメリットが活かせません。よほど高いリターンでない限り、最初の10年くらいはコツコツと積立を続けて資産を積み上げていくことに集中すべきです。

10年積立てた時点でそれなりの利益が出ているようであれば、思い切って利益確定をして「つみたてNISA」を終了し、一般NISAやiDeCoなどに資金をシフトすることを考えてみることも必要です。

10年後の相場がどうなっているのかは誰にも分かりません。今よりももっと上昇しているかも知れせませんが、今よりも大きく下落しているかも知れません。今後の値上がりはロボアドなどを利用した国際分散投資でもリターンを狙うことができますが、値下がりしたまま買値をリセットされてしまうリスクをカバーする方法はないことを頭に入れておきましょう。

10年積立てた時点で大きな評価損が出ている場合は残りの10年で決済するタイミングを見つけなければなりません。特定の市場に集中して投資するようなことがない限り、20年間で利食いのタイミングが見つからないというようなことはないはずです。そのようなことにならないように、「つみたてNISA」では日本国内、先進国、新興国などにバランスよく投資しておくことが重要です。

残りの10年で株式相場が上昇するという希望が持てない場合は「iDeCo」へのスイッチングという戦略もあります。ご興味のある方は以下の記事でまとめてありますので是非ご覧下さい。

2018年1月から「つみたてNISA」がスタートしました。この記事では「つみたてNISA」の金融機関の選び方や、144本もある投資信託の中から何を基準に投資信託を選び、どのような出口戦略を準備すればいいのかについて解説しています。

まとめ

「つみたてNISA」では20年後に買値をリセットされてしまうというリスクがあります。従って、「つみたてNISA」は20年の積立投資だとは考えず、最短で10年程度の利用で非課税メリットを享受し、別の運用にスイッチングするものであると考えておくことが重要です。

非課税制度のメリットは大きく利益を出すことでしか享受することができません。通常の積立投資とは異なり、常に出口戦略を意識して利益確定のチャンスを逃さない運用を心がけることが大切です。