攻めるニッセイが、りそな、三菱から信託報酬の業界最低記録を奪う!

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来年1月からの「つみたてNISA」のスタートを前に、投資信託の信託報酬引き下げ競争が激しくなってきました。

8月末にりそなアセットマネジメントが「つみたてNISA」を意識してインデックスファンドの信託報酬を業界最低水準に引き下げるのを見て、常に業界最低水準を維持すると宣言している三菱UFJ国際投信のインデックスファンドも引き下げに動き、業界最低水準の冠は両社の頭上に落ち着くものと思われていました。

ところが、ここにきてニッセイアセットマネジメントが11月から3本、来年3月から2本のインデックスファンドについて信託報酬の引き下げに動くというのです。信託報酬の設定値を現在の業界最低水準から0.001%引き下げる今回の引き下げにより、業界最低水準の冠はニッセイアセットマネジメントの頭上に輝くことになります。

ただし、りそなや三菱がこの状況を指をくわえたまま見ているとは考えられず、信託報酬の引き下げ競争はますます激しくなりそうです

この記事では、一連の信託報酬引き下げ競争の引き金となった「つみたてNISA」における金融庁のスタンスとそれを取り巻く金融機関の動きを振り返り、今後の動向を予想していきます。

金融庁がつみたてNISAを推し進める

金融庁は、予てより「貯蓄から投資へ」というスローガンを掲げて個人投資家への啓蒙や制度の改革を進めてきました。しかし現実はどうかと言うと、1800兆円にものぼる個人金融資産の内訳に大きな変化はなく、預貯金が投資に向かう動きは極めて鈍い状況が続いています。

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」(二人以上世帯調査)によると、有価証券・定期預金等による資産形成をしていない世帯は3世帯に1世帯の割合で存在しており、特に年収300万円未満の世帯では42.2%の世帯が金融資産がゼロという状況となっています。

金融庁が2017年9月に実施した「導入直前! つみたてNISAの制度説明」の際に配布した資料が公開されていますが、資料に記載されていたアンケート調査を見てみると、「投資は必要だと思うが、投資を行わない理由」として最も多かった回答が「まとまった資金がないから」というものでした。

このようなことから金融庁は、若年層あるいは低所得層による少額からの積立投資の重要性を強く認識し、つみたてNISAの制度を設計する段階から利用者である個人投資家やネット上での発言力を持つブロガーなどとの意見交換を積極的に行ってきました。

20代から30代の方が始める資産運用としてはなかなか良くできているこの「つみたてNISA」。この非課税制度を使わないのはもったいないです。この記事では投資経験のない20代、30代の方が「つみたてNISA」を簡単に理解して賢く利用できるようにまとめてみました。

つみたてNISAは業者が儲からない

つみたてNISAのような長期積立投資で最も大切なことは運用コストをいかに低くおさえるかということです。そもそも日本の投資信託は米国の投資信託に比べてコストが高く、ほとんどの日本の投資信託は長期投資には不向きです。

日本の投資信託を純資産額が多い順(売れている順)に並べた場合の上位10本と、米国の上位10本を比較すると、米国の上位1位から4位までを信託報酬の安い(コストの低い)インデックス型ファンドが占めています。それとは逆に日本では上位10本全てが信託報酬の高い(コストの高い)アクティブ型ファンドが占めています。

さらに、米国では上位10本の全てが販売手数料ゼロ(ノーロードあるいはそれに準ずるもの)のファンドですが、日本は上位10本全ての販売手数料が3%~4%という割り高な設定となっています。信託報酬についても販売手数料と同様に日本の投資信託の方がかなり割り高な設定となっています。

そこで金融庁は、つみたてNISAの運用対象となるためには「販売手数料はゼロとすること(ETFは別)」、「信託報酬は運用対象によって0.5%~1.5%を上限とすること」というような長期積立投資に適した条件をクリアすることを求めました。

ちなみに、今回金融庁が出した条件を先程の米国の投資信託上位10本に当てはめると8本が条件をクリアしますが、日本の投資信託上位10本は全滅です。

このことから、いかに今の日本の金融機関が個人投資家から甘い汁を吸っているのかがよくわかります。このような状況で「貯蓄から投資へ」とお金を動かしても得をするのは金融機関ばかりです。

金融機関の中には利益率の低くなっている「つみたてNISA」への取り組みに消極的な態度を見せるところもあります。システム投資や運用報告の郵送コストなどを考慮すると短期間では黒字にならないという理由から口座開設の受付すら行っていない会社もあるのが現実です。

ネット証券と一部の運用会社は積極的

つみたてNISAのスタートを前にして、これまでは投資信託の販売手数料や信託報酬について気にしていなかった個人投資家も投資信託のコストに敏感になってきています。

インターネット専業証券会社がこれからターゲットとしていくのはネットリテラシーの高い若年層です。証券会社にとっては利益率の低いつみたてNISAでもネット専業の証券会社であればコストラインをクリアすることは難しくはなく、積極的に顧客獲得に動いています。

また、運用会社はつみたてNISAで運用資産が伸びてくると信託報酬の率が低くなっても報酬の絶対額は増加するため積極的につみたてNISAに取り組むことができるニッセイアセットマネジメント、りそなアセットマネジメント、三菱UFJ国際投信などといった運用会社もあります。

このことからお分かりのように、つみたてNISAの口座は信託報酬の低いインデックスファンドを取り扱っているネット専業証券の中から選ぶのが正解です。来年1月までには今よりもっと信託報酬の低いファンドやETFなどが登場するかも知れません。新しい情報をキャッチする度に、この記事にも追加していきたいと思います。