野村證券の黒歴史「一兆円ファンド」の悲劇から学ぶ長期投資のコツ

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「ノムラ日本株戦略ファンド」って、ご存知の方はいらっしゃいますか?
実はこのファンド、野村證券の誕生100周年を記念し、当時の野村証券がグループの全勢力をあげて2000年に売り出した、募集額1兆円という前代未聞の投資信託なんです。

2000年2月に運用をスタートし、3月に募集価格の1万円を上回ったものの、その後は基準価格が1万円を上回ることはありませんでした。

一時期は3000円台まで下落し、投資信託史上最大の悲劇とまで言われたこともありましたが、2017年9月28日に10077円の基準価格をつけて再び元本を上回りました。

運用をスタートしてから実に17年間という時間をかけ、やっと元本に戻ったこの「ノムラ日本株戦略ファンド」の歴史を振り返ることで、私たちは長期投資についての大切なことを学ぶことができます。

ノムラ日本株戦略ファンドの悲劇

「ITバブル」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないかと思います。パソコン、携帯電話、インターネットの普及によって数々のIT関連企業が注目を集めた1990年代後半の時期がこの「TIバブル」の絶頂期でした。

米国ではマイクロソフトのビル・ゲイツを世界一の大富豪にならしめた「ITバブル」は日本にも上陸し、光通信の重田氏を世界5位の大富豪へと押し上げるなど、その狂乱ぶりは今から思うと凄まじいものでした。

ところが2000年に入ると人々は少しずつ冷静さを取り戻し、合理性のない株高に疑問を持つ人が増えるに従って、「ITバブル」は崩壊していきます。上記の光通信の株価を見てみると、2000年2月に20万円を上回る高値で取引されていたものが、僅か3ヶ月後の5月には7000円まで急落しています。

どのような投資信託にとっても運用開始のタイミングはパフォーマンスを左右する非常に大きなファクターです。

この「ノムラ日本株戦略ファンド」は1990年代後半から2000年にかけて世界中で巻き起こった「ITバブル」が崩壊する直前の2000年2月に運用を開始するという「歴史的な高値掴み」を演じた悲劇のファンドだと言えます。

また、「1兆円ファンド」という募集金額もこの悲劇に拍車をかけることになりました。1兆円規模の資金が株式市場に投入されるということを知れば、誰でもこのファンドの先回りをして株を買い、ファンドが買い上げて値段が上がったタイミングで売ることができてしまいます。

「ノムラ日本株戦略ファンド」が単純なインデックスタイプのファンドよりも運用成績が悪いのはこのような図体の大きさゆえの小回りの効かなさが原因のひとつだと言えます。

一兆円ファンドから学ぶ長期投資のコツ

コストの高い投資信託は避ける

「ノムラ日本株戦略ファンド」の購入手数料は3.15%、信託報酬は2.05%というかなり割り高な設定になっています。

信託報酬が高い分だけ運用成績に差があればいいのですが、同じく野村が運用しているTOPIXに連動するタイプのETF(信託報酬は0.11%)と比較して、両ファンドの株式の組入銘柄に大きな特徴の差はなく、パフォーマンスの差は見られません。

むしろ信託報酬が低い分だけ、このETFの運用パフォーマンスは「ノムラ日本株戦略ファンド」を上回っているだろうと思います。

コストの高い投資信託は長期投資になればなるほど不利になることを覚えておきましょう。

長期投資は途中で投げ出してはダメ

「ノムラ日本株戦略ファンド」は17年という時間がかかったものの、無事に元本を上回ることができました。しかし、「これでみんなハッピーだね」というお話にはなっていません。

なぜなら、この「ノムラ日本株戦略ファンド」の運用残高はピーク時に1兆1000億円を超えていましたが、17年経過して元本に戻った2017年9月28日の運用残高は800億円程度まで減少しています。つまり、ほとんどの資金は元本に戻るまでにこのファンドから離脱しているということです。

長期投資ではまとまった資金を同じタイミングで投資するよりも少しずつ時期をずらして計画的に分散して投資していくことが重要です。

例えば、この「ノムラ日本株戦略ファンド」を毎月1万円ずつ購入することができた場合、基準価格が1万円の時に比べて基準価格が3000円台まで下がった時期には3倍のファンドを買い付けることができ、元本である1万円に戻った場合のリターンは最初にまとめて買った場合とは比較になりません。

まとまった資金を一度に投資してしまうと価格変動に一喜一憂してしまい、結果的に途中で投げ出してしまうことにもなりえます。早めに見切って別のファンドに乗り換えるというのも一つのやり方ですが、その方法は長期投資とはそもそもスタンスが違って「取引(トレード)」に近いやり方です。

長期投資ではドルコスト平均法を利用した積立投資が効果的です。

これから投資を始めるならいきなり大金を投資しないで少額の積立投資から始めましょう。少額の積立投資を成功させるためには絶対に知っておかなければならないコツがあります。期待以上の結果を出すための積立投資のコツとは・・・。

まとめ

  • 長期投資では資金を投入するタイミングを分散することでリスクを低減する。
  • 少額からの積立投資なら税制優遇のある「つみたてNISA」が理想(2018年1月スタート)
  • 信託報酬の高い投資信託は長期投資に向かない
  • 途中で投げ売りすることを前提にした投資は長期投資では行わない