「つみたてNISA」と「iDeCo」で異なる利食いの考え方とタイミング

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砂時計

積立投資は毎月定額を投資するだけの簡単なルールでスタートできますが、利食いのタイミングについては明確なルールがありません。この記事では「iDeCo」と「つみたてNISA」で異なる利食いの方法や考え方について解説しています。

積立投資に損切りという概念はない

株式投資で大損をしたという話を耳にすることがあっても、積立投資で大損をしたという話は聞いたことがないのはどうしてでしょうか。

積立投資の世界では評価損が出ている状態でも積立を続けることが大前提となっており、そのことが結果的にはリターンにつながっていくという考え方が基本です。別の言い方をすると積立投資は「勝つまで続ける」投資であり、損切りをしないことが前提の資産運用手法だと言えます。

積立投資では利食いという概念もない

積立投資は時間を味方につけることで価格変動のあるリスク資産の保有額を安定的に増やしていく投資手法です。

ドルコスト平均法による価格の平準化作用によって、長期的に含み益を持った状態を維持することが積立投資を継続する心理的な支えとなります。つまり積立投資では含み益を維持することが重要であり、利食いをしないことが大前提となっています。

そもそも積立投資とは右肩上がりに成長する資産に対して行うものであり、将来的に価値が高まる金融資産をあえて途中換金する理由はどこにもないのです。

制度的に出口が決められている場合

このように積立投資は損切りも利食いも必要ない投資手法なのですが、「iDeCo」や「つみたてNISA」のように事前に出口となる期限や年齢が決められている制度については少し話が変わってきます。

出口が決まっている積立投資では出口をむかえる時期における含み損益(評価損益)の状況によって強制的に「利食い」になるケースと「損切り」になるケースのどちらかに分かれてしまいます。

通常の積立投資であれば、わざわざ損切りになるようなタイミングで金融資産を売却するようなことはせずに、利食いになるタイミングをじっくりと待つことができますが、出口が決まっている「つみたてNISA」や「iDeCo」の場合は事前に何らかの準備を考えておく必要があります。

iDeCoの利食いの考え方

「iDeCo」の出口と救済策について

現行のルールでは「iDeCo」は60歳まで積立が可能ですが、これを65歳に引き上げる案が検討されています。どちらにしても「iDeCo」は60歳か65歳で積立投資は終了となりますが、終了をむかえる時期に含み損を抱えている場合の救済策が用意されています。

現行のルールでは60歳で新たな積立はできなくなる「iDeCo」ですが、70歳になるまで運用指図者として相場の状況を見ながら運用を継続するという選択肢が用意されています。ただし、「iDeCo」によって積立てた資産を60歳以降の生活費として計算している人の場合、70歳までの生活費を別途準備できる人でなければこの救済措置は利用できません。

また、70歳まで運用期間を延長したからと言って、必ず相場が回復するという保証はなく、最悪の場合は更に相場が悪化する可能性もあります。そのような事態を避けるためにも、出口戦略を予め考えておくことが重要です。

「iDeCo」の利食いは段階的に

「iDeCo」の運用では若いうちはリスクをやや高めに設定することである程度のリターンを狙い、年齢と共に安全性を重視して運用リスクを引き下げていくことが大切です。

具体的な方法としては、リスク資産である株式資産の保有比率を年齢と共に引き下げ、比較的安全な資産である債券や無リスク資産である定期預金の比率を高めていきます。

30代までは株式資産に100%投資していても問題ありませんが、50代の「iDeCo」の運用では株式資産を50%以下にしておくのが理想的です。

そのためには50歳になるまでに保有している株式資産の半分程度を、利食えるタイミングで段階的かつ計画的に定期預金などの安全資産にスイッチング(乗り換え)していく必要があります。

50代からは60歳のゴールに向けて株式資産の利食いのタイミングを探す時期だと考えておき、保有している全ての株式資産を60歳までに全て利食い、定期預金にスイッチングするのが理想です。

50歳から60歳までには10年という期間がありますので、利食いのチャンスが現れる可能性はかなり高いものと考えられますので焦る必要はありません。

最悪のケースでも運用資産の半分は50歳までに定期預金にシフトしてあれば、60歳で定期預金部分を「一時金」として受け取り、残りの株式資産については運用しながら取り崩す「分割取崩し」の方法で受け取ることも可能です。

ただし、「iDeCo」を利用している金融機関によっては「一時金」と「分割」の併用ができない場合がありますので、「iDeCo」を利用する金融機関は慎重に選ぶ必要があります。「iDeCo」の金融機関選びについては以下の記事で詳しく解説しています。

iDeCoの節税効果は分かったけど、どの証券会社でどうやって運用すればいいのかが良く分からない。こんな理由でiDeCoを利用せずに年間何万円も税金を多く支払っているなんてもったいなですよ。この記事はそんなあなたの疑問を解消する大きな手助けになるはずです。

つみたてNISAの利食いの考え方

いつでも引き出せる「つみたてNISA」

「つみたてNISA」は年齢に関係なく2037年が最終積立期限となっています。

2018年に購入した投資信託の非課税運用期間は2037年まで、2037年に購入した投資信託の非課税運用期間は2056年となっており、いつ購入しても最長20年間の非課税期間は保証されていますが、2037年以降に新たな積立てを行うことはできません。

「つみたてNISA」は好きなタイミングで資金を引き出すことができるという点で、60歳まで引き出せない「iDeCo」とは違い、気軽に運用をスタートすることができます。

2027年までは利食いを考えない

「つみたてNISA」は年間40万円までしか積み立てることができないルールとなっており、10年で400万円、2018年の1月からスタートした人でも最大800万円までの積立てしかできません。

積立期間が短いうちは投資元本が小さいためリターンの絶対額はごく僅かしか期待できません。そのため最低でも2027年くらいまではリスク資産を中心にひたすら積立投資を継続していくことが重要です。

「つみたてNISA」は堅実な運用を目指す「iDeCo」と違い、可能な限り大きなリターンを狙うことを心掛けて下さい。というのも「つみたてNISA」の非課税メリットはリターンに対する非課税しかなく、「iDeCo」のような所得控除の制度がないからです。

大きなリターンを狙うためにはある程度の積立て元本が必要です。今から「つみたてNISA」をスタートする人の場合、少なくとも2027年までは利食いを考える必要はなく、ひたすら積立投資を継続するようにしましょう。

2037年までに全額を出金する

「iDeCo」では投資信託を利食った資金を定期預金に回すことが可能ですが、「つみたてNISA」で利食った資金を「つみたてNISA」の口座で再投資することは現実的ではありません(年間40万円の範囲でしか新規の買付けができないルールですので)。

例えば、10年間で400万円の投資元本に対して100万円の評価益がある場合、利食って500万円の資金を手に入れても年間40万円までしか「つみたてNISA」の口座で新規に運用することはできません。

従って、「つみたてNISA」で利食った資金は特定口座などを利用して新たな積立投資として再投資することを考えましょう。

「つみたてNISA」は2037年までの期限付きの制度ですので、2027年から2037年までの期間で出口を見つけ、2037年までには「つみたてNISA」の口座から全額を出金するくらいの気持ちで運用するのが理想です。

まとめ

「iDeCo」も「つみたてNISA」も期限のある積立投資ですので利食いのタイミングについては常に意識しておくことが重要です。

「iDeCo」は60歳まで引き出すことができませんので、スイッチングを利用して株式資産と定期預金の比率を年齢に応じて変更していくことで利食いを進めていきましょう。

「つみたてNISA」はいつでも引き出すことができますが、積立投資のメリットを受け取るためには少なくとも10年以上の積立期間を経た上で、2037年までに利食いを完了するようにしましょう。

利食いによって手に入れた資金は将来のインフレリスクを考慮して株式資産に再投資していくのが理想的ですが、その場合も積立投資を利用することを強くオススメします。