つみたてNISAで「Smart-i8資産バランス」をオススメしない3つの理由

シェアする

犬の画像

この記事では2018年8月21日に「つみたてNISA」の対象商品に追加された、りそなアセットマネジメントの「Smart-i8資産バランス」について解説し、現時点ではオススメできない理由と、同じカテゴリでの選択肢となるオススメの投資信託をご紹介しています。

Smart-i8資産バランスの特徴

最初に申し上げておかなければならないことは、「Smart-i8資産バランス」は8資産均等型ではなく、独自の資金分配比率によって8資産に投資する独自性の高いバランスファンドであるということです。

ここで言う8資産とは、「国内債券」・「先進国債券」・「新興国債券」・「国内株式」・「先進国株式」・「新興国株式」・「国内リート」・「先進国リート」の8つの資産クラスのことを示しています。

8資産均等型のバランスファンドはこれら8つの各資産クラスに対して12.5%ずつ均等に投資するという分かりやすさが初心者に支持されている理由の一つです。

それに対して、「Smart-i8資産バランス」は独自の資金配分比率が適用されており、資金配分比率の違いで「安定型」「安定成長型」「成長型」という3種類の選択肢が用意されています。

以下は「Smart-i8資産バランス」の交付目論見書からの抜粋です。「安定型」「安定成長型」「成長型」のどれを見ても独特の資金配分比率となっていることがお分かり頂けると思います。

資産分配率の表

パフォーマンスのイメージ

このような独特の資金配分率となっている「Smart-i8資産バランス」は、比較できる類似商品がないため、初心者の方が将来のパフォーマンスを想像することは非常に困難です。

また、過去の実績についても「Smart-i8資産バランス」は2018年3月27日に設定されたばかりの投資信託ですので、実際の運用実績としては直近の3か月間のリターンを見ることしかできません。

とりあえず、どこまで参考にできるかという点は別にして直近3か月間のリターンを見てみましょう。

「Smart-i8資産バランス」の安定型の1か月間のリターンは0.65%、3か月間のリターンは0.36%、安定成長型の1か月間のリターンは1.55%、3か月間のリターンは1.03%、成長型の1か月間のリターンは2.14%、3か月間のリターンは1.42%です。

資金分配比率は異なりますが、同じ8資産に分散投資する「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」の1か月間のリターンは1.86%、3か月間のリターンは1.04%となっており、資産配分比率が比較的類似している「Smart-i8資産バランス」安定成長型のリターンとほぼ同じくらいの水準となっています。

◆「Smart-i8資産バランス」の資産配分比率

ポートフォリオグラフ

このようなことからリターンの面では「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」と同じくらいを狙うなら安定成長型、もう少し保守的な運用をするなら安定型、もう少し積極的な運用をするなら成長型を選択するというイメージで大きな問題は無さそうです。

実はこの記事を書くにあたって事前に「Smart-i8資産バランス」の運用対象となっている各マザーファンドがベンチマークとしている指数の動きから「Smart-i8資産バランス」の過去のパフォーマンスをざっくりとシミュレーションしてみたのですが、結果的には上記の結論と大差はありませんでした。

信託報酬はかなり低コスト

「Smart-i8資産バランス」の信託報酬は安定型が税込0.1728%、安定成長型が税込0.1944%、成長型が税込0.2160%となっており、りそなアセットマネジメントとしてはかなり頑張っているというイメージです。

ただ、「Smart-i8資産バランス」の安定成長型(信託報酬:税込0.1944%)と類似したパフォーマンスを出している「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」の信託報酬が0.17%(税込)であることを考慮すると、信託報酬だけで飛びつきたくなるほどの水準とは言えません。

日本株重視のポートフォリオ

「Smart-i8資産バランス」は3タイプとも日本株への投資比率が日本を除く先進国への投資比率とほぼ同じ(2%の差しかない)であり、時価総額ベースで見ても、GDPベースで見ても日本株への投資比率が高く、先進国への投資比率が低いという特徴があります。

この傾向は8資産均等型の投資信託でも同じですが、新興国への投資比率は「Smart-i8資産バランス」の方が少なめになっており、8資産均等型よりもバランスがとれています。

このようなことから、「Smart-i8資産バランス」は先進国の経済成長よりも日本の経済成長に期待している方にはピッタリの投資比率となっています。

先進国債券での為替ヘッジ

「Smart-i8資産バランス」では先進国債券の運用について為替ヘッジを行う比率が高くなっています。

為替ヘッジを行うことで値動きがマイルドになる(ボラティリティが小さくなる)傾向がありますが、積立投資において値動きのマイルドさはリターンを悪くする可能性があります。

下がるべき時にしっかりと下がることで購入価格の平準化が実現する(ドルコスト平均法の効果が出る)積立投資のメリットを為替ヘッジが打ち消す場合があるという点を考慮すると、「つみたてNISA」で利用する投資信託に為替ヘッジは不要です。

その反面、為替ヘッジを行うことで投資信託の基準価格の動きが緩やかになり、投資家の心理的な負担が軽減されるというメリットがあることも事実です。

為替ヘッジは無料で行えるものではなく、コストを支払ってヘッジしていること(コストは投資家の負担であること)、為替ヘッジをしないことで日本円だけではなくドルにも分散投資ができることなどを考慮すると、個人的には「つみたてNISA」において為替ヘッジは不要だと考えます。

繰り上げ償還リスクについて

繰上償還とは、投資信託の運用会社が自社や投資家の利益を考えて、これ以上運用を続けるよりも運用をやめてお金を投資家に返す方がお互いにメリットがあると判断した場合に実施される事実上の強制解約のことを言います。

繰上償還の最大の原因は「人気がない(誰も買ってくれない)」=「純資産額が伸びない」=「運用会社が儲からない」というものです。

2016年から2018年5月までに繰上償還した投資信託は300ファンドを上回ります。
この期間の公募投資信託の繰上償還比率は6%程度ですが、純資産額が3億円未満の繰上償還比率は14%前後と非常に高く、逆に純資産額が10億円以上30億円未満の繰上償還比率は3%程度、30億円以上だと0.3%程度まで低くなります。

このようなことから純資産額が10億円を上回る水準を維持している(維持する見込みがある)ことが繰上償還のリスクを判断するひとつの目安となります。繰上償還につきましては以下の記事で詳しく解説しています。

10年以上の運用期間を前提とした「つみたてNISA」の利用においては無視できないのが投資信託の繰上償還リスクです。今回は、投資信託が運用会社の都合で運用を終了してしまう繰上償還リスクとその回避法について解説していきます。

「Smart-i8資産バランス」の純資産額(2018年8月24日時点)を見てみると、安定型で400万円、安定成長型で1100万円、成長型で1200万円となっており、大口の個人投資家が一人で買える程度の金額しかありません。

2018年3月27日に設定されたばかりの投資信託ですので、純資産額が小さいのは仕方のないことですが、2018年7月3日に設定された「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の純資産額が20億6100万円であることから比較すると、「Smart-i8資産バランス」の人気のなさは疑いようがありません。

投資信託によっては時間が経過してから人気化するものもありますので、今後の健闘に期待したいと思いますが、とりあえず純資産額が10億円を上回るまでは購入を差し控えておいた方が安全だと考えられます。

オススメのバランスファンド

「Smart-i8資産バランス」は日本株比率が高いこと、為替ヘッジ比率が高いこと、純資産額が伸び悩んでいることなどから総合的に考えると現時点では「つみたてNISA」での利用をオススメすることはできません。

だからと言って、決して悪い投資信託という訳ではなく「Smart-i8資産バランス」の成長型に限定した話をすれば、8資産均等型の投資信託よりもバランス的には優れており、純資産額が10億円を超えてくるのが確認できれば積極的に利用しても良い投資信託の一つであると言えるでしょう。

ただし、現時点では「Smart-i8資産バランス」に投資するなら純資産額が149億円で信託報酬が「Smart-i8資産バランス」よりも低い0.17%(税込)の「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」を選んだ方が安心です。

8資産にこだわりがなく、世界中の株式と債券にバランスよく投資したいという方であれば2018年7月20日に設定されたばかりでありながら既に純資産額では「Smart-i8資産バランス」を上回っている「楽天・インデックス・バランス・ファンド」(信託報酬:0.24%)に投資する方が繰上償還リスクは小さくなるものと考えられます。

低コストで世界中の株式市場と債券市場に最適なバランスで投資できるバランスファンド「楽天・インデックス・バランス・ファンド」が発売されました。この記事では「楽天・インデックス・バランス・ファンド」の優位性や投資する際のポイントなどについて解説しています。

現時点で「Smart-i8資産バランス」を販売しているのは「りそな銀行」と投資信託の販売を再開したばかりの「松井証券」だけであり、他の大手ネット証券は販売会社に名乗りを上げていません。

大手ネット証券は人気が出そうな投資信託を積極的に取扱商品に加えていくはずですので、販売会社から見た「Smart-i8資産バランス」の評価も現時点では「様子見」というステータスなのではないかと想像できます。