相場急落時に確定拠出年金「iDeCo・DC」で行うべき「スイッチング」とは

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確定拠出年金は「つみたてNISA」と違って運用している金融商品を好きなタイミングで自由に別の金融商品に乗り換えることができます。このような金融商品の乗り換えを「スイッチング」と言います。今回は確定拠出年金の特徴と、相場急落のタイミングにスイッチングを行うことのメリットについて解説していきます。

確定拠出年金の仕組みとメリット

確定拠出年金には企業型の「DC」の他にも個人型の「iDeCo」があり、どちらも毎年の節税効果が高く、年収が200万円を上回るのでれは、確実にリターンが見込める有利な年金制度です。確定拠出年金の最大の特徴は自分で運用先を決めることができる点ですが、日本の「DC」では半分以上の人が元本が確保できる定期預金で運用しているのが現実です。

「DC」と「iDeCo」の違いをざっくりと説明すると、最大の違いは掛け金を負担するのが企業か個人かの差です。「DC」は退職金制度の一種だと考えると分かりやすいと思いますが、もともとは企業が毎月定額の掛け金を負担し、社員はその掛け金を利用して「DC」の対象となる金融商品の中から好きなものを選んで運用する制度でした。

2012年からは企業が毎月負担する掛け金と同金額まで個人も掛け金を追加することができる「マッチング拠出」という制度ができ、個人が負担する掛け金は所得から控除されるという税制メリットが生まれました。年収と毎月の個人負担の掛け金によって節税額は異なりますが、少なくとも毎年数万円の節税効果が期待できます。

「iDeCo」は「マッチング拠出」の制度が企業の規約にない場合や、そもそも「DC」の制度がない個人事業主や主婦などが利用できる個人年金制度であり、掛け金が所得から控除されるメリットは「マッチング拠出」と同じですが、毎年の口座管理料が発生する点に違いがあります。

口座管理料は金融機関によって異なり、年間6000円前後のコストになる金融機関もありますが、大手ネット専業証券を利用すれば年間2004円程度の負担で済みます。「iDeCo」で利用すべき金融機関につきましては以下の記事でまとめてありますので、是非ご覧下さい。

iDeCoの節税効果は分かったけど、どの証券会社でどうやって運用すればいいのかが良く分からない。こんな理由でiDeCoを利用せずに年間何万円も税金を多く支払っているなんてもったいなですよ。この記事はそんなあなたの疑問を解消する大きな手助けになるはずです。

確定拠出年金と「つみたてNISA」の違い

同じ非課税制度として「DC」、「iDeCo」、「つみたてNISA」が混同されがちですが、どちらも運用益が非課税になる点は同じですが、「DC」と「iDeCo」は厚生労働省が管轄する年金制度で、「つみたてNISA」は金融庁が管轄する少額投資非課税制度です。

年金制度である「DC」や「iDeCo」は最低でも60歳になるまでは積立てたお金を引き出すことができませんが、積立てた金額が所得から控除されます。「つみたてNISA」は20年間運用益に課税されない制度ですが「iDeCo」のような所得控除を受けることはできません。

また、運用対象に元本確保の定期預金は含まれておらず、主に投資信託で運用することになります。「つみたてNISA」はいつでも好きなタイミングでお金を引き出すことができ、「iDeCo」のような口座管理料は必要ありません。

「DC」や「iDeCo」ではスイッチングが自由に行なえますが、「つみたてNISA」の場合は年間40万円という買い付け枠の中でしかスイッチングができませんので、ある程度の積立額になるとスイッチングは不可能です。

例えば「つみたてNISA」を利用して、現在100万円の積立額全てをバランス型の投資信託で運用している人が先進国の株式で運用する投資信託に乗り換えたいと考えた場合、100万円分のバランス型の投資信託を売却することは可能ですが、新たに投資信託を購入できるのは年間買い付け限度枠の40万円までなので、残りの60万円は来年以降の「つみたてNISA」の投資枠を利用して再投資することになります。

「つみたてNISA」と同様に、確定拠出年金にも年間の積立枠に上限はあるのですが、「スイッチング」による買い付け金額は積立枠には含まれないルールになっているため機動的な運用が可能です。

定期預金のスイッチング

確定拠出年金は60歳までの長期間、毎年所得控除による節税額を受け取ることができるため、60歳までの総額だと100万円を超える節税が可能です。この節税だけを目当てに確定拠出年金を利用する人は運用によるリスクを回避するため運用先に定期預金を選ぶケースが大半です。

確定拠出年金(DC)では、どのような金融商品で運用するかを社員それぞれが決めることができるため、ある社員は株式投資信託で積極的に運用し、ある社員は節税メリットだけを狙って元本確保の定期預金で運用するということが起こり、同じ積立額であっても最終的な受取金額に大きな差が出ることになります。

米国では確定拠出年金のほとんどが投資信託で運用されており、この20年間で金融資産を大きく増やしていますが、日本では半分以上が定期預金で運用されており、大半が1%未満のリターンとなっています。詳しくは以下の記事にまとめてありますのでご興味のある方は是非ご覧下さい。

米国では普通の会社員でも退職後の個人金融資産が1億円を上回るケースは珍しくありません。過去20年間で家計金融資産は米国が3.3倍、英国で2.5倍に増加しているのに日本では1.5倍にしか増えていません。このような差はいったいどこから生まれてくるのでしょうか。

老後に必要な資金を形成するための確定拠出年金ですが、運用益がほぼゼロの定期預金で運用していていては運用益が非課税となる税制メリットがまったく無駄になってしまいます。少なくとも積立額の2倍くらいの資金に増やしておきたいと考えるなら、現在定期預金で運用している資金を株式投資信託へスイッチングすることを考えてみてはいかがでしょう。

安全資産である定期預金をリスク資産である株式投資信託へスイッチングすることは勇気のいることだと思いますが、過去20年間の株式市場の値動きを見る限り、国際分散投資を徹底してればどのタイミングで投資をしていたとしてもリターンがマイナスになることはありませんでした。今後も世界経済の成長を信じることができるなら、リスクをとる価値があるのではないでしょうか。

スイッチングのテクニック

50歳を超えてからリスク資産を増やすことは避けるべきでしょう。50歳を超えている方は、残された運用期間を考慮して、リスク資産から安全資産へのスイッチングを相場の動きを見ながら60歳までに完了しておきましょう。

20代、30代の方は定期預金から先進国の株式市場へ投資する投資信託へのスイッチングを行うのがいいでしょう。スイッチングのタイミングは「株式投資家の悲鳴が聞こえる」タイミングを選ぶのがベストです。株式市場が大きく値下がりして市場がパニックになっているような時に定期預金の一部を投資信託にスイッチングします。

覚えておいてもらいたいことは、決して1度に全ての資金をスイッチングしないことです。相場の下げには一番底、二番底、三番底というように数ヶ月かけて安値を更新するケースがありますので、最初の一番底で全ての資金を投入すると二番底、三番底をつけた時に投入する資金が無くなってしまいます。

株式市場は数年に一回は急落する局面がありますので焦る必要はありませんので、数年かけてスイッチングを完了させるくらいの気持ちで行っていくのがいいでしょう。

まとめ

人生100年時代に突入し、老後に必要な資金は今や1億円を超えてきています。その半分を年金で賄ったとしても残りの半分は自分でなんとかしなければなりません。

60歳までに自分の給料だけで1億円の金融資産を形成しようと考えた場合、リターンを生まない定期預金のみでの運用には無理があるように思います。確定拠出年金や「つみたてNISA」を利用した積極運用を考えてみてはいかがでしょう。

「iDeCo」に関する詳細は以下の記事でまとめてありますので、是非ご覧下さい。

「iDeCo」とは節税しながら老後資金の準備ができる、とても有利な個人年金制度です。今回は、2018年から導入された新しいルールも含め、誰でも3分で「iDeCo」の始め方が分かるように、どこよりも分かりやすく解説してみたいと思います。

「iDeCo」の制度は理解していても選ぶべき投資信託が決められてないという方は以下の記事をご覧下さい。

iDeCoのメリットは知っていても、これまで投資をしたことがない初心者の方の中には、何にどれくらい投資したらいいのか分からないという方が多いのではないでしょうか。そこで、この記事では投資未経験者がiDeCoを始める際に選ぶべきおすすめの投資信託やその組み合わせ方法などについて解説していきます。