iDeCoをターゲット・イヤー ・ファンドで運用するメリットとデメリット

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改正DC法の施行により、「iDeCo」の指定運用方法としてターゲット・イヤー・ファンドを選ぶ金融機関が増えそうです。この記事ではターゲット・イヤー・ファンドの説明に加え、「iDeCo」でターゲット・イヤー・ファンドを利用するメリットとデメリットついて解説しています。

注目されるターゲット・イヤー・ファンド

これまで「iDeCo」への拠出を開始しても具体的な運用方法が決められないという人は、運用商品を指定しないまま自動的に定期預金での運用がスタートしていました。その結果、「iDeCo」の運用資産の6割以上が定期預金で運用されており、インフレによる運用資産の目減りが問題視されています。

そこで「確定拠出年金制度等の一部を改正する法律(改正DC法)」では、「iDeCo」で運用する金融商品を3ヶ月以上指定しない人には各金融機関が指定した運用商品(指定運用方法)で運用されることになりました。

指定運用方法は各金融機関が独自に決定することができますが、改正DC法では「長期的な観点から、物価その他の経済事情の変動により生ずる損失に備え、収益の確保を図るためのものとして厚生労働省令で定める基準に適合するものでなければならない」と規定されており、ターゲット・イヤー・ファンドでの運用が主流になりそうです。

ターゲット・イヤー・ファンドとは

資産運用におけるポートフォリオは年齢によって変化させていくべきであるという考え方があります。

若いうちはある程度のリスクを承知の上で高いリターンが期待できるポートフォリオ(アセットアロケーション)による運用を行い、定年退職が近づいてくるに従ってリスクの低い安定的な運用が期待できるポートフォリオへと切り替えていくことで、定年退職間近の株式市場の暴落などによる老後資金の減少リスクから資産を守ることができるという考え方です。

ターゲット・イヤー・ファンドとは、2040年、2050年といった特定の年をターゲット・イヤーとして設定し、ターゲット・イヤーに近づくにつれてポートフォリオの内容を自動的に組み替え、運用リスクを徐々に小さくしていく投資信託です。

自分が定年退職になる年がターゲット・イヤーとして設定されているターゲット・イヤー・ファンドを選んでおくことで、若いうちはリターンを狙い、定年退職が近づくにつれて安定運用へと自動的に切り替えてくれますので、運用の手間が一切かからないのが特徴です。

ターゲット・イヤー・ファンドのメリット

1本の投資信託を選ぶだけで、運用ポートフォリオを年齢に合わせたリスク許容度に自動的にリバランスしてくれるターゲット・イヤー・ファンドは、運用の手間や資産運用の勉強にかける時間を節約してくれるという意味では非常に合理的な投資信託です。

少なくとも定期預金だけで運用するよりも高いリターンが期待できることは間違いありませんので、金融機関が「iDeCo」における指定運用方法としてターゲット・イヤー・ファンドを選択することに異論を唱える人は少ないものと考えられます。

ターゲット・イヤー・ファンドはバランスファンドの一種ですので、分散投資という点から考えても合理的なポートフォリオになっているものが多く、標準的なマーケットの動きであれば安定的なパフォーマンスが期待できるものと思われます。

ターゲット・イヤー・ファンドは信託報酬が高いというイメージを持っている人も多いと思いますが、最近では0.39%程度のものが増えてきており、今後はもっとコストの低いターゲット・イヤー・ファンドが出てくるものと思われます。

ターゲット・イヤー・ファンドのデメリット

繰上償還や実質コストの上昇リスク

ターゲット・イヤー・ファンドは年齢に合わせて自動的にリスクをコントロールしてくれる便利な投資信託ですが、これまで注目されることが少なかったカテゴリの商品であり、日本のDC専用ファンドにおけるシェアは1%以下しかありません。

従って、十分な純資産額を確保できているターゲット・イヤー・ファンドは少なく、繰上償還や実質コストの上昇リスクなどに注意が必要です。投資信託における繰上償還リスクにつきましては以下の記事で詳しく解説していますので、是非ご覧ください。

10年以上の運用期間を前提とした「つみたてNISA」の利用においては無視できないのが投資信託の繰上償還リスクです。今回は、投資信託が運用会社の都合で運用を終了してしまう繰上償還リスクとその回避法について解説していきます。

非効率な運用によるリターンの低さ

運用ポートフォリオにおけるアセットアロケーションには計算上の最適値が存在しており、運用の効率という点では年齢がいくつであっても常に最適なポートフォリオで運用する方が期待できるリターンは高くなります。

ターゲット・イヤー・ファンドはリターンの最大化を放棄し、定年退職が近づくにつれて目標リターンとリスクを引き下げていくことで安定的な運用を行いますので、一般的なバランスファンドに比べてリターンは小さくなってしまいます。

直近5年間でのパフォーマンスを見ると、一般的なバランスファンドの平均リターンは7.54%ですが、ターゲット・イヤー・ファンドの平均リターンは3.71%となっており、かなり非効率な運用が行われていることが分かります。

例えば、リスクの高い運用をしている運用期間の前半にリーマンショックのような株式市場での大きな下落局面があった場合、後半に株式市場が回復してもポートフォリオが安定運用に切り替わっているせいで、失った資産を取り戻すことが困難になるケースが出てきます。

運良方針の違いをチェックする必要性

また、ターゲット・イヤー・ファンドと言っても運用会社によってポートフォリオの内容にはかなりの違いがありますので注意が必要です。実際に米国の401Kで2010年をターゲット・イヤーとしたターゲット・イヤー・ファンドを利用していた人の中には2008年のリーマンショックで運用資産の3割程度を失った人もおり、2010年のターゲット・イヤーをマイナス運用で終えた例もあります。

2010年をターゲット・イヤーとするファンドであれば、2008年時点のポートフォリオはかなりの安定運用になっていたはずなのですが、ターゲット・イヤー・ファンドによって運用方針には大きな違いがあるのが現実であり、ターゲット・イヤー・ファンドを選ぶ場合にはポートフォリオの中身を事前にチェックしておくことが大切です。

金融の知識がなくても安心して運用を任せられるというイメージが強いターゲット・イヤー・ファンドですが、実際にはポートフォリオの中身をチェックする能力は必要であり、そのような能力があるならわざわざターゲット・イヤー・ファンドを利用しなくても、もっと低コストのインデックスファンドを利用することが可能です。

まとめ

改正DC法によって指定運用方法の整理が実現したことにより、ターゲット・イヤー・ファンドをデフォルトの基本商品として選択する金融機関が増えることが予想されます。

このことによって実質的にはマイナス運用となる定期預金での「iDeCo」の運用は減少していき、ある程度のリターンが期待できるターゲット・イヤー・ファンドでの運用が増えていくことは悪い事ではありません。

ただし、ターゲット・イヤー・ファンドは運用方法を指定することができない人が利用すべきものであり、ある程度の金融リテラシーがある人であれば、インデックスファンドと定期預金を上手に組合せてリスクをコントロールすることで高いリターンを狙うことが可能です。

「iDeCo」を運用する際の最も重要なポイントは定期預金の使い方です。定期預金を上手に利用できる人と、そうでない人とでは、「iDeCo」での運用実績に大きな差が出てしまう可能性があります。この記事では「iDeCo」における定期預金の上手な利用方法と具体的な投資信託との組合せ方について解説しています。

日本におけるターゲット・イヤー・ファンドの歴史は浅く、その実力を評価できるだけの十分な実績はまだありません。しかしながら20年以上の長期運用を前提に考えれば、定期預金での運用よりも高いリターンは期待できるのではないかと思います。

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