つみたてNISAでバランスファンドを選ぶ基準と知っておきたい上手な利用法

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「つみたてNISA」で投資信託を選ぶ際の候補として、複数の資産クラスに分散して投資できるバランスファンドをお考えの方も多いと思います。この記事では「つみたてNISA」で自分に最適なバランスファンドを選ぶための考え方と上手な利用法について解説しています。

バランスファンドを選ぶ理由

「つみたてNISA」は公的年金だけでは不足しがちな老後資金を国民が自力で形成していくために金融庁が2018年からスタートさせた非課税の投資制度です。

金融庁が「つみたてNISA」の制度を設立した理由は、欧米先進国に比べて日本の個人金融資産に占める株式および投資信託のシェアは著しく低く、このことが原因で日本人の個人金融資産は欧米先進国と比べて伸び悩んでいるという現実があるからです。

金融庁は投資経験が少ない若年層が毎月少額の投資信託を長期間に渡って積立てていくことが、最も確実に個人金融資産を増やしていくための方法であると考え、長期積立投資に適した投資信託の基準を設け、その条件に合う投資信託だけを「つみたてNISA」の対象商品として指定しています。

その結果、国内に6000本は存在している投資信託の中からわずか159本(2018年10月29日時点)の投資信託だけが「つみたてNISA」の対象商品として厳選されています。

金融庁の目的は投資信託という商品を介して国民に株式資産を保有させることですので、選ばれた投資信託は原則として株式市場への投資を行うものばかりであり、債券にのみ投資する投資信託や不動産(REIT)にのみ投資する投資信託などは対象商品になっていません。

そのような中、債券や不動産(REIT)などといった株式以外の資産クラスに投資する唯一の手段がバランスファンドを選ぶことです。

バランスファンドとは価格変動要因の異なる複数の資産クラスに分散投資することで運用の安定化を目指した投資信託のことで、株式、債券、不動産(REIT)、コモディティ(主にGOLD)などに分散して投資されます。

このように「つみたてNISA」でバランスファンドを選ぶ理由は、株式以外の資産クラスに分散して投資することで運用を安定させたいからですが、運用が安定するということはリターンも小さくなりやすいという点を事前に理解しておく必要があります。

8資産型・4資産型・6資産型

一口にバランスファンドと言っても運用対象や運用方針の違いによって特徴は異なります。この記事では主に初めての資産運用を「つみたてNISA」でスタートする方を対象としていますので、日本国内の株式、債券、不動産(REIT)に分散投資する国内型のバランスファンドはグローバルな分散投資とは言えないためここでは解説を割愛させて頂きます。

1本の投資信託で複数の国の複数の資産クラスに分散投資できるバランスファンドのうち、最も多く「つみたてNISA」の対象ファンドとなっているのは「8資産型」(26本)、その次が「4資産型」(17本)、「6資産型」(13本)と続きます(2018年10月31日時点)。

8資産型バランスファンド

「8資産型」バランスファンドは「先進国の株式」、「先進国の債券」、「先進国の不動産」、「日本の株式」、「日本の債券」、「日本の不動産」、「新興国の株式」、「新興国の債券」という8つの資産クラスに分散投資するバランスファンドのことを言います。

8つの資産クラスに対してどのような比率で投資するのかによってリスク・リターンは異なってきます。一般的に株式は債券よりもリスク・リターンが大きくなりますので株式への投資比率の高さでバランスファンドのリスク・リターンをある程度まで判断することができます。

また、新興国への投資は先進国への投資よりもリスクは高めになる傾向が強く、不動産への投資リスクは株式とほぼ同じくらいと考えておけばOKです。

日本は先進国の一員ですので本来は日本と先進国を分ける必要はありません。日本に住んでいるという理由から無意識に日本の株式、債券、不動産に投資してしまう現象を「ホーム・カントリー・バイアス」と呼んだりしますが、GDPベースから考えれば日本への投資は全体の10%以下にしておくのが理想的です。

4資産型バランスファンド

「4資産型」バランスファンドは「先進国の株式」、「先進国の債券」、「日本の株式」、「日本の債券」、という4つの資産クラスに分散投資するバランスファンドのことを言います。

新興国や不動産への投資を避け、世界経済の中心である先進国の株式・債券に分散投資することで安定した運用を狙うのが「4資産型」バランスファンドの特徴です。

6資産型バランスファンド

「6資産型」バランスファンドは「先進国の株式」、「先進国の債券」、「先進国の不動産」、「日本の株式」、「日本の債券」、「日本の不動産」、「新興国の株式」、「新興国の債券」という8つの資産クラスの中から6資産に分散投資するバランスファンドのことを言います。

大きく分けると日本および先進国の株式・債券・不動産に分散投資するものと、日本、先進国、新興国の株式・債券に投資する2つのタイプに分けることができ、新興国への投資を含めるか、不動産への投資を含めるかが選択基準になります。

全世界型でグローバル分散投資

8資産・4資産・6資産のバランスファンドは株式と債券だけではなく不動産にも投資したい人や新興国への投資を積極的に行いたい人が選ぶべきバランスファンドです。

ただし、株式の値動きと逆相関の関係が認められるのは債券だけですので、値動きの安定を目的にバランスファンドを選ぶなら世界中の株式と債券に分散投資する「2資産型」がオススメです。

「2資産型」の中でも特にオススメしたいのが、世界各国のGDPシェアに合わせて全世界の株式・債券にバランス良く分散投資する全世界型のバランスファンドです。

全世界型の「2資産型」バランスファンドとしては「セゾン バンガード・グローバルバランスファンド(信託報酬:0.6%)」、「世界経済インデックスファンド(信託報酬:0.54%)」が有名ですが、「つみたてNISA」の定義ではアクティブ運用のファンドとして分類されており、信託報酬も最近のインデックスファンドと比べれば少しだけ割高に感じる人も多いかも知れません。

そこでオススメなのが、「楽天・インデックス・バランス・ファンド(均等型)」(信託報酬:0.25%) です。全世界の株式に50%、全世界の債券に50%ずつ投資するというスタンスは「セゾン バンガード・グローバルバランスファンド(信託報酬:0.6%)」、「世界経済インデックスファンド(信託報酬:0.54%)」と同じですが、信託報酬が半分程度に抑えられています。

低コストで世界中の株式市場と債券市場に最適なバランスで投資できるバランスファンド「楽天・インデックス・バランス・ファンド」が発売されました。この記事では「楽天・インデックス・バランス・ファンド」の優位性や投資する際のポイントなどについて解説しています。

2018年7月20日設定されたばかりの新しい投資信託ですので、しばらくは純資産の伸び方を確認してから判断すべきだと思いますが、株式と債券に半分ずつ投資する「均等型」以外に株式比率を70%まで高めた「株式重視型」や30%まで引き下げた「債券重視型」などもあり、投資家の年齢やリスク許容度に合わせた選択が可能である点が魅力です。

個人的には「楽天・インデックス・バランス・ファンド」で「均等型」を選ぶのであれば既に優れた運用実績のある「セゾン バンガード・グローバルバランスファンド(信託報酬:0.6%)」、「世界経済インデックスファンド(信託報酬:0.54%)」を選ぶ方が安心できると思います。

ただし、これらの「均等型」バランスファンドは20代、30代の方が利用するには少し保守的過ぎるポートフォリだと考えられ、若年層の方が利用するなら「楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)」(信託報酬:0.24%)からスタートし、40代後半あたりから「均等型」や「債券重視型」へのシフトを検討していくというような使い方がいいように思います。

バランスファンドでコア・サテライト運用

「つみたてNISA」は最長20年という長期運用を前提としていますので、1本のバランスファンドだけで運用するのではなく、バランスファンドをコア運用(資産運用のベースとなる安定運用部分)と考え、もう1本別のファンドをサテライト運用(人生のステージに合わせたリスク運用部分)として利用する「コア・サテライト運用」が理想です。

20代、30代での資産運用では株式を中心にしたポートフォリオで大きなリターンを狙うべきですが、50代、60代の資産運用では債券を中心にした安定的な運用へ切り替える方が安心です。

バランスファンドは株式への投資比率が固定的であるため、若年層の方は株式投資信託(株式に100%投資する投資信託)をサテライト運用としてトッピングすることでリターンの上積みを積極的に狙いに行きたいところです(「トッピング候補としては「全世界株」、「先進国」、「米国株」への投資を行う投資信託がオススメです)。

また、50代あたりからは債券への投資比率が高いバランスファンドにシフトしていくことも考えておきましょう。

オススメのバランスファンド

ここではオススメのバランスファンドをいくつかご紹介しておきたいと思います。

8資産・4資産・6資産のバランスファンドは投資信託ごとに運用成績が大きく異なるということは考え難いため、信託報酬が低く、純資産額が20億円以上あるものの中からお好きなものを選んで頂ければOKです。

8資産型なら「eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)」、4資産型なら「 ニッセイ・インデックスバランスF(4資産均等)」が信託報酬0.17%と最安水準であり、純資産額も十分です。6資産型なら「野村 6資産均等バランス」(不動産への投資を含むタイプです)が信託報酬0.24%となっており、純資産額も20億円を上回っています。

全世界型のバランスファンドを選ぶなら「セゾン バンガード・グローバルバランスファンド(信託報酬:0.6%)」、「世界経済インデックスファンド(信託報酬:0.54%)」が最有力候補となりますが、今後の純資産額の状況によっては「楽天・インデックス・バランス・ファンド(株式重視型)」(信託報酬:0.24%)あたりも候補としては有力です。

利用する前に知っておきたいこと

「つみたてNISA」は年間最大40万円しか新規に運用することができません。毎月3万3000円程度の資金までしか投資に回すことができない人であれば、運用可能な資産の全てを「つみたてNISA」の中で運用することが可能であり、株式運用と債券運用に分散できるバランスファンドを利用するメリットは十分にあります。

それなりの預貯金が既にある人や「iDeCo」で定期預金を利用している人の場合、安全資産は既に保有している訳ですから、あえて「つみたてNISA」でバランスファンドを選んで安全資産(債券)を保有することに意味はなく、リターンを狙って株式資産への投資に集中した方が非課税メリットを活かすことができるでしょう。

また、現時点では毎月数千円程度しか「つみたてNISA」に回せないという方の場合、将来的な老後不安への対応としてはリターンを重視した運用を行う必要があり、バランスファンドのような保守的な運用ではなく、株式投資信託の利用を考えたほうがいいでしょう。

バランスファンドは「万能」という訳ではなく、どちらかと言えば「無難」な運用を行うファンドですので、プラスアルファのトッピングを行うことでご自身の状況に合わせた運用を行うのが理想です。