「つみたてNISA」は理想的なスタートになっていると考えられる理由

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スタート地点の画像

2018年からスタートした「つみたてNISA」ですが、スタートと同時に世界的な株式市場の調整局面に見舞われてしまい、不安な日々を過ごされている投資ビギナーの方もいらっしゃるのではないでしょうか。それとは逆に積立投資のベテランの皆さんはいい時期にスタートできたと考えているはずです。今回はその理由について解説していきます。

過去10年で株価急落は3回

これからの10年について考えていく前に、過去10年の相場について振り返ってみましょう。ご存知の方も多いと思いますが、株式市場の値動きにおいて、「上げ相場はじっくりと時間をかけながら上がっていく」のに対して「下げ相場は短期間に大きく下げる」という特徴があります。

株式市場で世界的な急落があると、「◯◯ショック・危機」と名付けられることが多いのですが、過去10年を振り返ってみると、この「◯◯ショック・危機」がかなりの頻度で発生していたことに驚かされます。

誰でも知っている「◯◯ショック・危機」の代表が、「100年に一度の大暴落」と言われている「リーマンショック」です。「リーマンショック」は2008年9月15日に当時の米国証券会社第4位であったリーマン・ブラザーズが経営破綻し、第3位であったメリルリンチはバンク・オブ・アメリカによって救済合併、翌日の16日には米国の保険会社第1位であったAIGの経営危機による国営化などが発覚し、世界規模の株価暴落へと発展していきました。

暴落規模としては最初の1ヶ月で35%程度の下げがあり(一番底)、その後株価は反発するのですが、6ヶ月後には高値から4割以上の下げ(2番底)となりました。リーマンショックから2年後の2010年には「欧州債務危機(ユーロ危機)」によって株価は3割程度の急落、2015年には「チャイナショック」によって株価は20%程度の急落となっています。

このように「◯◯ショック・危機」と呼ばれるものの中でも株価下落率が20%を超えるものだけでも過去10年間で3回発生している訳ですが、現在の日経平均から考えると20%の下げ幅は4000円以上の下げ幅となります。

積立投資で急落に慌てる必要なし

このように、10年という期間の中では日経平均で考えると4000円以上の値幅で株価が急落する局面が2回や3回は今後もあるかも知れません。急落が1回なのか2回なのかは分かりませんが、少なくとも1回以上は必ず起きると考えておけば、積立投資家が急落局面で慌てることはなくなるはずです。

なぜ積立投資家が株価急落局面でも慌てる必要がないかと言うと、例えばリーマンショック前の株価が高値更新を続けている2007年から2016年末までの10年間を見た場合、株価が20%以上急落する局面が3回もありましたが、投資信託への積立投資を行っている積立投資家は平均的な一般投資家よりも高いリターンでの運用が実現してるからです。

投資信託に実際に投資している人のリターンを知るには「モーニングスター」のホームページで「インベスターリターン」を見るのが一般的ですが、積立投資によるリターンを知るためには主に積立投資で利用されるDC専用の投資信託における「インベスターリターン」を見るのが一番です。

例えば、「MSCI KOKUSAI」指数という日本を除く先進国の株式市場に連動する指数をベンチマークとする投資信託で比較すると、一括投資が可能な「野村 外国株式インデックスファンド(信託報酬:0.64%)」の過去10年のインベスターリターンは年率8.37%ですが、同じ指数をベンチマークとする「大和住銀 DC外国株式ファンド(信託報酬:1.97%)」のインベスターリターンは年率10.58%です。

「大和住銀 DC外国株式ファンド」と「野村 外国株式インデックスファンド」の信託報酬の差が1.33%もあることを考えると積立投資によって年率3%以上の差が出ている計算になります。また、「大和住銀 DC外国株式ファンド」の10年間のトータルリターンは6.61%であり、インベスターリターン(10.58%)との差は3.97%であることからも積立投資の効果が3%以上であったことがわかります。

積立投資は急落からのスタートが得意

積立投資では、下げ相場からスタートするとリターンが狙いやすくなります。スタートから順調に右肩上がりの相場が続くと、積立てた資産が十分に積み上がっていない状態(保有する投資信託の口数が少ない状態)で株価が上昇することになり、株価は上昇しているのに含み益の絶対額は少しずつしか増えていきません。

スタートから早い時期に急落局面がやってくると、急落による含み損はわずかであり、短期間で下がった後にゆっくりと時間をかけて上昇していきますので、安い価格で長期間の積立が可能となり、その後にやってくる急落局面にも余裕を持って対応することができます。

特に投資経験が浅い方は、大きな急落局面を経験したことがないため、ある程度の資金が積み上がってから急落を経験し、大きな評価損失を抱えた状態になるよりも、早めに急落を経験し、そこからのリカバーを経験する方がストレスなく積立投資を続けることができるはずです。

このようなことから「つみたてNISA」は、長期間に渡って順調に上昇してきた株式市場の調整からスタートすることになったことが、結果的には非常に良いタイミングになりそうな気がします。

2月の下落はわずかに数%であり、「◯◯ショック」と呼ぶには早過ぎますが、この先で20%程度下がるようなことになれば、理想的な急落からのスタートになると考えられるため、私は密かに急落を楽しみにしています。

意外と難しいのが出口戦略

積立投資において最も難しいのは「出口戦略」です。特に日本の株式市場のように厳密には右肩上がりの値動きとは言えないマーケットでは適当なタイミングで利益を確定していく方が安全と言えるかも知れません。

そこで問題になるのが、「利益を確定するタイミング」です。この出口戦略について語り出すと長くなりそうなので別の機会にじっくりと解説したいと思いますが、最もシンプルで誰でもできるやり方としては一度に全部を決済するのではなく、上昇相場の中で分割して決済していくやり方です。

分割決済の途中で相場が急落してくれるのが一番ありがたいシナリオで、決済によって手に入れた資金を再投資していきます。「つみたてNISA」ではスイッチングはできませんので特定口座を利用して安いところから積立投資をスタートします。「つみたてNISA」で決済できなかった残りについては次のチャンスを待つことにして、こちらの口座でも積立投資を継続してきましょう。

「つみたてNISA」は20年という期限のある制度ですので積立開始から10年くらいが過ぎた頃から出口のタイミングを考えておくようにしましょう。