20年間で家計金融資産を3.3倍に増やす米国と1.5倍の日本と違いは投資信託と預金の差だった

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米国

米国では普通の会社員でも退職後の個人金融資産が1億円を上回るケースは珍しくありません。過去20年間で家計金融資産は米国が3.3倍、英国で2.5倍に増加しているのに日本では1.5倍にしか増えていません。このような差はいったいどこから生まれてくるのでしょうか。

20年で3.3倍に増える理由は運用益

日本人は非常に勤勉であり、労働時間が欧米諸国よりも少ないということはなく、もらっている賃金が少ないということもありません。教育水準も高く、失業率も極めて低い状態であり、少なくとも60歳までに手にすることができる所得で欧米に大きく差をつけられているという状況とは言えません。

それなのにこの20年間で、日米両国間の家計金融資産の増え方に、ここまで大きな差がついてしまった最大の原因は、資産運用による運用益の差であると考えられます。

日本人は預貯金が大好きですが、現在のような超低金利時代において預貯金はリターンを生むことはほとんどありません。リターンを生むことのない資産に投資をすることは全くの無意味であるといえますが、それでも日本人は預貯金を中心とした資産運用スタイルを変えることはなく、その結果として貯金した分だけしか家計金融資産は増えないことになります。

運用益の差はリスク資産の保有率の差

リターンを生むものに投資をするにはリスクを覚悟する必要がありますが、日本人は欧米人と比べてリスク資産への投資に対して極めて消極的だと言えます。

当然ながら、日本でも株式や投資信託などに投資している人もいるのですが、個人金融資産に占める株式、投資信託の保有比率を見てみると、日本では19%、英国では38%、米国では46%となっており、日本人が保有する個人金融資産のうち8割弱はリターンが期待できない預貯金や保険で眠っているのです。

このようにして見てみると、日本と米国の家計金融資産の増加率の差は単純にリスク資産の保有率に比例していることがわかります。

投資に良いイメージがない日本人

投資という言葉から、多くの日本人が連想するものは、あまりポジティブなものではないようです。その理由の一つとしては、1989年12月につけた日経平均株価の高値を28年経過した現在も上回ることができていないという事実です。

日本を除く先進国の株式市場では長期的に見た株価の推移は右肩上がりとなっており、例えば、米国の株式市場の動きを代表するS&P500に対して、過去どのタイミングで投資したとしても10年以上の運用期間があれば確実に運用益が出ています。

それに対して日本の株式市場の場合、28年前に投資した人はいまだにリターンを得ることができていません。例えば、日興アセットマネジメントが1988年6月17日に設定した「インデックスファンド225」の2018年01月31日時点の設定来リターンは「-20.66%」 です。

株に投資しておけば長い目でみれば必ず資産は増えるという成功体験を積んできた米国民と、株に投資しても儲かるとは限らないことを体験してきた日本国民とでは投資に対するイメージやスタンスが異なるのは当然のことなのかも知れません。

1.5倍と3.3倍で大きく変わる老後の生活

公的年金制度は人生100年時代を想定して設計されている訳ではありません。従って、現役世代は今のうちから自力で老後の生活資金を準備しておく必要があります。

厚生労働省の調べによると、現在の公的年金の支給平均額は年間200万円程度ですが、この先はもっと少なくなることが予想されます。現役世代のうちに数億円単位の預貯金ができるという人は無理に投資をする必要はないのかも知れませんが、多くの人は投資によって元本を2倍程度まで増やすことを考える必要があるのではないかと思います。

「iDeCo」などの確定拠出年金(DC)を利用していている人の中では、節税分をリターンと考えて定期預金で運用している人が全体の半分程度というのが現実です。確定拠出年金は2001年からスタートした制度ですが、仮に10年前から確定拠出年金による積立て運用をスタートした場合、日経平均に連動する株式投資信託で運用した人は毎年平均6%程度のリターンを得ることができたと思いますが、定期預金で運用した人は1%未満のリターンとなります。

例えば、30歳で年収400万円の会社員が毎月2万3000円を「iDeCo」で積立てた場合、60歳までの積立て元本は828万円になります。「iDeCo」は節税効果が高く、定期預金に投資しても、株式投資信託に投資しても60歳までに120万円程度の節税効果を手にすることができます。

このように、投資元本と節税効果が同じでも運用によるリターンが年1%だった場合に60歳までに手にすることができる運用益は137万円ですが、年率5%で運用できれば60歳までに1086万円の運用益を手にすることができます。運用によるリターンを低めに見積もって年率3%として計算しても運用益は574万円となりますので、株式投資信託ではなく債券などと組合せたバランス型の投資信託を利用してもこの程度のリターンを狙うことは可能です。

まとめ

米国で家計金融資産がこの20年で3.3倍になったのは確定拠出年金などを利用して多くの米国国民が投資信託による資産運用を行った結果であり、日本の家計金融資産が1.5倍にしか増えなかった理由は金融資産の大半を預貯金で運用した結果です。

投資信託に投資したからと言って、毎年金融資産が右肩上がりに増えていくという訳ではなく、マイナスリターンになる年も数年に1回は発生するはずですが、10年、20年という期間で見た場合、日本を除く株式市場ではリターンがマイナスになったことはありません。

現在の日本では「 楽天・全世界株式インデックス・ファンド」のように、低コストで世界中の株式市場に投資できるような投資投資が数多く存在しており、米国国民と同じ条件で投資を行うことができます。

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